死んでも死に切れない転生

toytoytoy

第1話

かつて小説家になろうというサイトがあった。

 あるものは小説家になろうと、あるものは素人小説を求めそのサイトへ足を運んでは消えていった魔境である。

 そんな魔境で頭痛が痛いがワナビにあこがれる一人の少年がいた。

「ふう、今日の更新おわりっと」

 彼は投稿者であった。

 彼のに日課である小説を更新を終え一息をつく那呂男。

 ドンドンッ!

 突然のドアを叩く音に驚く那呂男、今日は訪問者の予定はないし、通販で頼んだ小説が届くにはまだ早いはず。そう思いつつも、最近の配達は早いからもしかして早く届いたのかもしれないと彼は玄関のドアを開けてしまった。

 「はいはいどちらさまですか」

 ドアを開けながら尋ねる那呂男。

そこたっていたのは小太りの見知らぬ男が立っていた。

「ブツブツたな……」

小太りの男の口元が動きなにかぶつぶつ言っているようだった

「あのどちら様ですか?何のようでしょうか?」

戸惑う那呂男

 「よくもマリアタソの膜を奪ったな! この外道!」

 小太りの男は顔を真っ赤にしながら叫ぶ。

 タソとか膜とかいきなり何いってんだと、ドン引きの那呂男。

 「マリアタソはな!純情なんだよ!!非処女なはずないんだよ!!この腐れ作者が!!」

 叫び声に驚き体が硬直している那呂男にぶつかる小太りの男。

 さっきから処女とか処女とか何なんだこの処女連呼おじさんは。

 突然の訪問者の言うことに、那呂男には思い当たる節があった。さっき更新した小説に出てくるヒロインの名前がマリアなのだ。

 もしかして毒者かな?と思ったが、那呂男の小説に登場するヒロインは未だにユニコーンに愛される生娘設定なので、この処女膜連呼おじさんは何か勘違いをしているではないかと思い当たるが、どうやってなだめて穏便にお取引してもらうかということや、どうやって自宅を特定したのか、またそろそろ引越ししたほうがいいのかなど考えていると、処女膜連呼おじさんがアップになったと思ったら那呂男体に衝撃が走った。

 那呂男は何が起きたのか理解できなかったが、腹部が熱くなったのを感じあわてて手で抑えようとする那呂男。しかし抑えようとした腹に突起物があり抑えることができなかっただけでなく、その突起物に触れ腹部の熱が激痛に変わったの感じ頭の中が「痛い!」で満たされパニックになってしまう。目の前で興奮した小太りの男が何か言っているがそれどころではないので腹部を見るとそこにあった突起物とは包丁の柄であった。

「ひぃひぃ……おまえが悪いんだからな!」

 そういうと処女連呼おじさんは那呂男の腹部から包丁を抜くと走り去った。

 那呂男は痛みで動けなかった。腹部から赤黒い血が流れ続けるが痛みでうまく抑えられない。

 もうだめだ那呂男は死を予感する。

「こんなことならもっと小説を書いておけばよかった。まだプロットの半分もいっていないのに。それに感想欄で楽しみにしていてくれた人の期待にも答えられていない。ペンネームそっくりにしてパロ小説書いてくれていた人もいたのに、あの人のほうの小説も楽しみだったなっておいおい、あの人が書いてた小説のヒロイン名前が俺の小説と同じで、今朝非処女設定が判明して感想欄が炎上してたじゃねーか」

勘違いで刺された事を知った那呂男、なんだかやるせない気持ちのまま意識が遠のいていったのであった。

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