第107話 俺、私、正直に言ったった

 先日、某SNSのニュース記事で統合失調症の方の記事があった。

 独り言を言ってしまい、周りから変な目で見られるというような事だった。


 その記事に対して


「障害なのは分かるけど正直、怖いから避けます」

「ぶっちゃけ気味悪いから近寄りたく無い」

「そういう人は監禁してほしい」


 というような意見をいくつか見かけた。


 これ、「俺、私、言いにくい事を正直に言ったった!」感がとてもしたんだけど、こういう事を言うのは正直なんじゃなくて、恥知らずなんだと思う。


 その病気の事を知ろうとして、歩み寄り理解しようとしたのちに「そうは言っても避けたいです」と言うのなら、それは正直な意見かもしれない。


 けれど上のつぶやきは、無責任で幼稚な発言で『ありのまま』という意味では正直なのかもしれないが、言いにくい事を勇気を持って発言した正直な意見では無い。


 一昔前、「俺、私、子ども嫌いなんだよね」という意見を公言する人が増えた事があった。


 これも似たような感じだ。

 言いにくい事をカミングアウトした、という感じではなく「俺、私、スゲー事言っちゃうもんね」と深くは考えないで発言している感がある。


 子ども嫌いなのは別に悪くは無い。

 だが、昔はタブー的だった事だけど「俺、私は言えちゃうんだぜ」という感覚での発言はカッコよくもないし幼稚な意見にすら感じる。


 ネットは匿名だからこそ、粋がって意見が言えてしまうのかもしれないが、反論がきても返せる自信と責任を持って言ってもらいたいものだ。

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