第17話 一人っ子からの言い分
私は一人っ子だ。
子どもの頃、一人っ子のために「甘やかされて育ったでしょう」と何も知りもしないくせにと言う人たちに対して怒りを覚えたぐらい、そう見られる事が許せなかった。
自分で言うのもなんだが私は温厚な性格だ。
その私を怒らせるぐらい「一人っ子=わがまま」なんて図式を冗談でも持ち出す人の軽率な思考と発言が事実無根で、いい加減にしてほしいと思ったものだ。
ここまで怒ってるにも関わらず
「でも、一人っ子だもの、親御さんは甘やかしたんじゃない?」
などと、まだ言うか!という人がいる。
そりゃあ他人が外から見ればいくらでも恵まれているように見えるよね。
一人っ子というものは、親の愛情を独り占めにするという事だけではなく
子ども一人で、親を受け止めるという事なのだ。
それだけ子どもの負担も大きいものなのだ。
それが期待の場合もあるだろうし、干渉の場合もあるだろうし、虐待の場合もある。
一人っ子というのは、そうでない人たちが想像するより
そんないいものでは無い。
そして私は友達と数年一緒に暮らしてみたり、結婚をして他人と暮らして分かってきたが
一人っ子のデメリットはワガママなどでは無く、ケンカをしたり相手が機嫌が悪そうにしている時に、どうしていいか分からなくなって自分を全否定してでも相手にひれ伏してしまうところだ。
極端な言い方かもしれないが、要は、兄弟ケンカの経験が無いから対等に相手とケンカをするという事が苦手で相手が怒ると相手が悪くても謝ってその場をおさめたくなるのが一人っ子の弱点だと思うのだ。
ワガママどころか、相手に譲ってしまう。
揉め事が苦手なのだ。
兄弟のいる人は、そういう時の対処方や、時間が経てば案外あっさり仲直りしている事などなんとも思わずこなせるかもしれないが一人っ子にとっては身が縮むようなドキドキなのだ。
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