温度
僕は冷たい。
僕は熱い。
頭が冷たい。
心が熱い。
例えば、僕は誰かが死んでも、悲しんだりはしない。
だって、悲しんだところで死者が生き返るはずもない。
だから、死者に対しては労うだけ。
これまで精一杯に生きてきた事を、ね。
その様に冷たく考えて、熱く想う。
それが僕。
そして、それは誰に対しても、そうなのだ。
親しい者に対しても、赤の他人に対しても。
頭が冷たいから、そうなってしまう。
心が熱いから、そうなってしまう。
頭から伝わる命令は常に冷たく現実的。
心から溢れる情念は理想を求めてしまう。
冷たい考えを熱い想いで包み込む。
それが僕。
そうやって、冷たい自分を虚飾する。
まるで、熱い自分を着飾る様に、ね。
見栄っ張りな自分がそうさせる。
恥ずかしがりな自分がそうさせる。
僕は虚ろう。
僕は佇む。
たった一人で。
ずっと一人で。
次から次に押し寄せる疑問の波に呑まれる様に。
自分の中に生じる矛盾と葛藤をしながらも。
そして自分の出来る事だけをやっていく。
それが自らの可能性を拡げると信じて。
冷たい頭で現実を受け止めながら、
熱い心でロマンを語り続ける。
そして冷たい僕は考える。
恐らくは、もう無理だろう、と。
そして熱い僕は思う。
それでも、逃げ出す訳にはいかない、と。
だって、僕はまだ生きている。
死ぬまで生きなければならない。
実際に冷たくなるまでは、
熱く夢を見るしかない。
それが叶わぬ夢であったとしても。
それが厳しい現実であったとしても。
Cold Oneself in the Hot Oneself...
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