未来でも、お天道様は観ている。

「それにしても、我々の出番は無くなったなあ」

 若者が着るような、フードのついたパーカーを着ている、老人は昔を懐かしむように酒を飲みながら語る。


「本当に。あの頃は良かった」

 向かい合う老人も、返答する。こちらはスーツだ。


 そうなのだ。


 AIが高度に張り巡らされたネットワークを駆使して監視する社会になった今、個人はどんな行動をとっても、AIがすぐに判断してくれる。


 だから、2人の老人たちは職を失ったのだ。パーカーの男はという仕事を、スーツの男はというお役目を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る