小僧さんの努力。

 ゴシゴシ、ゴシゴシ…あるお寺の境内で、小僧さんは雑巾を洗っていた。


 決して大きくはないお寺だが、小僧さんが一人で、毎日磨き上げている。


 使うのは、どんなに寒くても水拭きの雑巾。


 効率化なやり方では、せっかくの修行を積む機会が失われる。昔ながらのやり方だからこそ、修行なのだ。


 今日は昨日の突風のせいだろうか、境内にホコリ等が付着しており、雑巾はいつもより汚れていた。小僧さんの手も真っ黒だ。


 ゴシゴシ、ゴシゴシ。


 いくら頑張って洗っても、雑巾の汚れが消えることは無かった。


 悲しくなり、ふと、小僧さんが自分の手を見ると、あれだけ真っ黒だった自分の手がキレイになっていたのだ。



【作者/注】

 この話は、浄土宗の高層「水谷幸正師」が説法として使っておられた話から、着想を得ています。生前、色々とお目をかけてくださり、ありがとうございました。

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