なんだか、全て台無し感。

「“前の彼氏にDVを受けている。ヤバい”という時、体を張って新婦を守った新郎。非常に仲睦まじいお二人ですが、結婚に至るまでは艱難辛苦があったと聞いています。だからこそ、こうしてご結婚に至ったことは喜ばしい限りです。


 新郎のご両親が病気になった時、新婦は泊りがけで看病にいきました。結婚前の親族になる前のことです。末期の病気の看病というのは、経験しないとわからないものですが、楽なものではありません。末期の病床は、大変な苦労があります。それをすべからく受け止め、献身的に看病をしたのが新婦です。


 また新郎が独立して会社を立ち上げた直後にやってきた、不景気の大ショック。資金繰りのため、銀行を奔走する新郎を新婦は文句一つ言うことなく、支え続けましたね。


 逆に新婦が辛い時には、新郎は優しさと包容力で支え続けました。だからこそ、お二人はこうして結婚するに至ったのです。


 今こうして幸せになり、これからも共に幸せを育もうとしているお二人を見ていると、感極まり、少し話過ぎてしましました」


 と、男はグラスを上げ、来場者全員に乾杯を促した。


「出会い系アプリで出会われたお二人の門出を、心よりお祝い致します。」

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