神の言葉。
「世界がずっと平和でありますように。世界中から恵まれない子どもたちが、いなくなり、愛で溢れますように」
少年は、神に祈り続け。だが、世界から不幸が無くなることは無かった。
いつしか少年は祈ることを辞めてしまった。祈ることよりも、自ら動くことで世界中から悲劇を消し去ろうと考えるようになったのだ。
やがて少年は大人になり、理想を追求するため、まずお金を生み出し、そして政治家になった。
政治家になった元少年の純粋な熱意は、大いに人々を突き動かす。いつしか、少年のおかげで相当ドラスティックに社会は、良き方向に向かい出したのだった。
老政治家もさらに歳をとり、寿命を迎える。葬送式は盛大に催され、世界中の人々が喪に服すこととなった。
生前の善行から、当然、天に召された老政治家は、祈りが通じなかった旨のクレームを神に伝えた。
──「いいか?人類は、核兵器や生物兵器やらで、自らを100回以上も全滅させるような代物を大量に保有しているのだぞ。それなのに、なぜ人類がまだ生き延びてると思う?」
8000万年を観察し続けてきた神に対し、1生分の経験値しか持たない人間が、人類の愚行について語る言葉に対して、言い返すことはできなかった。
天国で、あの頃の姿に戻っていた少年は唸り、答えを見つけようとする。大丈夫。時間はたっぷりとあるのだから。
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