孤独とともに踊れ
せせせ
第1話
俺は小向勇気(こむかいゆうき)、26歳。
高校三年の秋までは普通の人生を過ごしていたのだが、志望の大学に落ちた次の朝、目が覚めると今まで俺が居たこの世界は俺にとって異世界になってしまっていたのだった。
最初は「俺、これからどうなっちゃうんだろう……」と不安しきりだったが、少し生活してみればなんのことはない、とっても快適な世界だった(飯も勝手に出てくる)。
そんな、飯を食って寝るだけの生活を繰り返している内に、いつの間にか俺の部屋には何人かの美少女が住み着いていた。今日はそいつらを紹介しよう。
一人目は自己愛。愛と呼んでいる。髪はエメラルドグリーンのセミロングで、淡い黄色のワンピースにスパッツを履いた元気でロリロリしい子だ。俺に絶えずくっついて離れない可愛い奴だが、少し俺を盲信し過ぎているきらいがある。他の女の子たちが俺に対して何か指摘をしようとすると、必ずそいつに噛みつくのだ。でもそこが可愛い奴だ。
二人目は自己嫌悪。長いので嫌悪と呼んでいる。髪は黒くショートボブで、灰色のパーカーに紺のジーンズを履いた、いつも目を隠している大人しい子だ。俺に絶えずくっついて離れない可愛い奴だが、こいつは口を開くと絶対に俺の悪口を言う。だが、本気で言っているわけではなく奴にとってそれが俺に対しての愛情表現だということらしい。可愛い奴だ。
こいつと愛はよくぶつかる。犬猿の仲というやつだが、根っこに俺に対しての愛情があるという点では同じなので仲良くなってほしい。
三人目は人間不信。長いので不信と呼んでいる。髪は赤くサイドテールで、赤黒いリブタートルセーターに灰色のスカートを履いた、少々気性の激しい子だ。こいつは口を開けば今まで俺が関わってきた人間のうちの誰かの悪口を必ず言う。そのため面倒な奴が多いこの部屋の中でもかなり面倒な奴だ。だが、それも俺を好いているからこその言動なので、悪い気はしない。
四人目は孤独。髪は白く緩く纏まったロングヘアーで、白いシャツにフリルの付いた黒いロングスカートを履いており、白黒で統一されたゴシックな服装をしている、この中でも異質なファッションの子だ。こいつは物静かで、ほとんど喋ることはないし、上三人とは違って俺に絶えずひっついているということもない。ただいつも静かに俺を少し離れたところから見つめている。
全員黒スト。
俺は飯を食って出してはこいつらを適当にあしらって寝るような生活をここ十年近く続けているが、見ての通り退屈はしていない。ずっとこんな生活が続けばいいとすら思っている。
さーて今日は愛にエロいことをするぞー
「やめて!」
ガッシ! ボカッ!
突然部屋のドアから美少女でも美女でもない現実が入ってきて俺を殴ってきた!
俺は死ななかった。
現実(笑)
孤独とともに踊れ せせせ @cicada_sss
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