邪神との契約
「君が、僕の
『そうだ』
これは夢なのではないかと、少年は疑った。
あまりにも突然すぎて頭も心もついていくことができない。
『今起きていることがそんなに信じられないなら、実際にやってみればいい。そうすれば否が応にも現実だと認めざるを得なくなる。それに──』
そこで一度言葉を止めると、
『――欲しいんだろ?
……神を殺せるほどの、絶大なる力が』
少年はまるで探るようにじっと
「……君は、何が目的なの」
『目的なんて大層なものはない。ただお前に興味があった……。
――神を殺そうとする、人間に』
暫くの間、沈黙が包んだ。
物音一つしない闇に包まれた空間の中、
やがて少年は俯いた。
その顔は髪に隠れ見ることはできない。
だが。
「……面白い」
呟きが聞こえた。
その言葉を発した少年の口は三日月に歪められている。
「神が人を殺し、そして……神を殺す――。
裏切りと憎悪が生まれ、この世界を包み破滅へと導く――――。
……こんな面白いことはないね」
そう言う少年は、正に悪魔のようだった……。
『どうする。俺様と契約するか?』
「……しよう、契約。神への復讐を誓う契約を。
そして、僕自身が――
――――神になる」
瞬間、
『――決まりだ』
そう
衝撃を感じた胸を見下ろすと――
「――っ!!」
――そこには、深々と剣が刺さっていた。
剣に貫かれていることを認識した途端、心臓が脈打つ度に痛みを感じ始め、そしてその痛みは増していく。
やがて心臓が抉られるように痛み、少年は思わず膝をつき胸を鷲掴んだ。
徐々に意識が朦朧とし始め、視界に映る
『契約の
そんな声が遠くで聞こえた。
そして、少年の意識が途絶える。
『さぁ、地獄を作り上げろ。
――貴様がこの世界の、支配者になれ。
そして。
――――貴様がこの世界の、神になれ』
街全体が見渡せる高台に浮かぶ一つの黒い影。
銀色の月がその影を照らす。
全身を黒いローブで包み、帽子を目深に被る少年。
その口には笑みが浮かべられている。
少年は月を見上げた。
すると月が紅く染まる。
まるで、血の色のように。
それはこれから始まる地獄を暗示していた。
「――――楽しい地獄の、幕開けだ」
――そう呟く少年の眼が一瞬、あの
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