判決とお礼 7/14
「とはいえ、決着は着いたが、チーム加入とは話は別だ。どうする?」
チームの部屋には戻らず、雪ノ下がチームに入るか否かの判決を下すことにした。AV室に、先生を含めて全員が集まっている状態だ。
「俺は、キャプテンの大空の言葉に従う。主将の決定には逆らわねえ」
「うん。それがいいよ。私も賛成」
なんで俺なんだよ。榊原まで、首肯で賛成するなよ。いつからキャプテンになったんだ。
「まあ、雪ノ下さんは戦力的に申し分ない。むしろありがたいくらいだ。だけど、このチームに入ろうと思った理由を聞かせてくれないかな。俺達はまだ君の気持ちを一言も聞いていない」
雪ノ下にそう尋ねると、躊躇いながらも、口を開いた。
「私は、駿河先輩とある程度親交があって……このチームを勧められたんです。私には、このチームが良いって。
あ、そ、それだけじゃないんですよっ!あの試合を見て、チームの勝利への執念と、温かさを感じたから……。私、人見知りなんですけど、このチームなら頑張れるかもって……思って……」
途中から恥ずかしくなったのか、だんだんとボリュームダウンしていった。可愛い。
「うん、ありがとう。
俺はさ、雪ノ下さんがこのチームに合っているのかを知りたかったんだ。
そんなことであれば、是非歓迎するよ。俺も、駿河先輩にお世話になっているし、この申し出を断る理由なんてないよ」
そう俺が告げると、雪ノ下は嬉しそうに笑った。超可愛いんですけど。
「え!本当ですか!ありがとうございます!皆さん、これからよろしくお願いします!冷姫さんも先程は熱くなってすみませんでした!」
そう言いながら、雪ノ下は一人一人と握手を交わす。冷姫も悪気を感じていたのか、謝罪の言葉を小さな呟いた。
「んじゃ、今日やることは終わったし、自由解散で。あ、氷牙は少し私のところに来てくれ」
そう、先生は場を締めくくった。冷姫に何の用があるんだろう。
「わかりました」
冷姫と先生が部屋を出て行く。ふと、俺は、冷姫に言いたいことを思い出す。
「あ、冷姫!お前の戦っている姿を生で初めて見たけど、なんつーか、格好良かったぞ!」
「サンキュ」
冷姫は振り返りもせず、左手を挙げた。
なんて、冷静な男だ。だが、心は熱く燃えている。先程の戦いでわかった。たまにふざけるし、よくわからない奴だが、あれが冷姫氷牙という男なのだろう。
俺も二人に続いて、部屋を出ようとすると、鳳に引き止められる。
「あ、大空君。お礼言うの忘れてた。ありがとね、勉強教えてくれて。良ければまた教えてね」
「あぁ、全然良いよ。チームメイトの危機は救わなくちゃね。なーんてね」
そう、二人で笑い合う。必要とされるだけで、笑ってくれるだけで、十分だ。あの時の努力もそれで報われるよ。
これで五人か。やっと役者が揃ったような、引き締まった思いだ。
一応キャプテンの俺。絶対的エースの冷姫。遠距離攻撃の鳳。電光石火の雪ノ下。技術面で支える榊原。
これなら、もっと通用する。きっと、あの真霧にも手が届くはずだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます