第6回 女性と野球
大分の高校に女子マネージャーが補助員としてグラウンドに入った、という事で世間が俄かに騒がれた。本来はいつになったら終わるのか分からない日米大学野球を書ききるべきなのだが、私が大学時代大分にいたのもあって触れないのもよくないなあ、と思い、これをここに書き示すとする。
元来高校野球でグラウンドに女子があがるべきか否か、というのはここ二十年かなり意見の分かれる話になっている。これ自体に関しては私自身、ノーの立場を持っている。なぜかというと公平性に欠けるからである。例えばテニスのダブルスで男女混合などがあるが、あくまで男子一人に対して女子一人、というフェアプレイの規則があるからこそ成り立つ。そこには男女の体力差というものが関わっている。どれだけ運動が出来るとはいえ、同じ運動量の男子を圧倒する女子は稀であり、あくまで男子は男子、女子は女子として分けるのが妥当である。リトルリーグを上げられるかもしれないが、まだ男女の運動能力が本格的に分かれていない段階を例に出されても仕方がない。実際そのリトルリーグですら13歳ごろを境目にきっぱりと男女の差が割れてくる。これは男女の体格、肉体の構造上どうしようもないのだ。
かといってプロ野球で男女が出るのは悪いか、という話になるとこれまた難しくなる。プロ野球はアスリートの集まりであり興業でもある。勿論実力があることが前提になるが、例えばマウンドに女子プロ野球選手がいても私は悪いと思わない。ちゃんと抑えてさえくれれば、そこに男女の垣根はなく、プロ野球選手なのだ。興業として見せる要素に性を用いる事自体は悪いとは思わない。まあ、出てないという事はやはり見せる要素以前の実力やそこを取り巻く周辺の社会があるからであろうが。
そして高校野球であるのだが、体力的視点を見るとやはり両校のフェアプレイ精神に合わなくなる。男子のダブルスで、プレイが上手いからといって女子を出されても困るのは間違いなく、仮に行うとしても両チームの男女比率が同じであるか、九人揃わなくて公式からは外れるが試合に出るための特別措置として、等、多少の理由は必要であろうし、基本的にはやはりノーの立場をとっている。女子が活躍できる機会を、というのならば、女子野球部が栄えていないのが問題であり、だから男子野球部に割って入れる事が高校野球のあり方、というのはまた筋違いであろう。明確なルールがないスポーツはただの遊びでしかない。
しかし、今案件に関してはどうなのであろうか。練習に、ボール渡しを行っていたというところである。ここは練習とグラウンドが規則にどうかかわってくるか、というところに焦点があてられる。練習時間というのは基本的に規則に基づいてなので、基本的には規則に従うべきなのであろう。
となると本件は今年の大会参加者資格に基づく必要性が出てくる。参加者資格規定第五条の第一項を見ると
「その学校に在学する男子生徒で、当該都道府県高等学校野球連盟に登録されている部員のうち、学校長が身体、学業及び人物について選手として適当と認めたもの。」(原文まま抜粋)
となる。ここで男子生徒と書かれているのは重要で、つまり、ここでの退場処分は規定に準じたものであり、決しておかしいものではない。しいて言うのならば大分高校は規定違反と指を指されても仕方がないのである。勿論、日本学生野球憲章の解釈とすれば野球部に女子が登録される事はよい。しかし、練習時間も規定に含まれている以上、参加者規定に準じる事が今大会においては正しかろう。
しかし、それはそこまでとして、今後の課題としてである。昨今の野球人口は減退の一途をたどっているのは言わずもがな、段々とリトルリーグを中心に女子でも野球を、という女子も増え始めている。公式試合はいかないにせよ、練習位は特別規則を設けていいのではないであろうか。登録人員がギリギリというチームへの救済措置にもなるであろう。今後はもう少し柔らかい目線で見るのもよいのではないか。
その一方で、女子が野球を出来る環境を作っていくべきであろう。女子プロ野球もまだまだ元気な現在、野球を男子だけのものにする必要もないであろう。そういう意味で少しずつジェンダーを開放していけばいい。
今回の一件では、女子と野球はどうあるべきか、という事に考えるに至った。もう貞操観念から女子が激しいスポーツをやらない、という時代ではないのだから、必要なところは変え、守るべきところは守ればいいのである。
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