1-6 始まりの森 初めての苦戦
「やっと解放された……」
午後1時少し前、自分の部屋で脱け殻のような状態になっていた真理守は、
どうやらつい先程、家に帰ることが出来たようだ。
「あいつが大口だったら誕生日早々ピンチだった。」
真理守は、葵に奢ったが、ピンチに成る程食べなかったようだ。まぁ、真理守も別に葵を、嫌いとかではないのだが。
「でも、大丈夫だ!セカンド・ワールドに行けるし」
ただし、前日までに運営に申請をする場合は、
「葵が1時半に、また行こうって言ってたが、まぁ、先に冒険でもするか!」
そう言うと真理守は、今朝と同じようにヘルメットを被る。
「ワールド・チェンジ」
本日二回目のSWへ移動した。
~~~始まりの村~~~
「よし、始まりの森で経験値を稼ぐか。速攻でレベル上げてあお...りん倒す。とりあえず一発」
この世界は別に男女の力の差は、無いのだが、(個人での差はある)魔理守は仕返しをしようと考えた。
取り敢えずレベルを上げに行くようだ。
~~~始まりの森~~~
森に着いた魔理守は早速モンスター達を倒し回る。
~40分位たった頃~
「ちょっとあいつの話聞いてれば良かった」
十数匹ぐらいのモンスターを倒して、浮かれてた魔理守は、調子に乗って奥の方まで行った模様。
戦闘中のモンスター【ホーンラビット】×3レベル3,3,5
対する魔理守は、レベル2 HP14/24 MP3/14
このままでは敗北するだろう。絶体絶命である。
所持している回復道具も残りわずかであり、MP回復アイテムのMPストーンは2つのみ。
ただ、あのうさぎ、ホーンラビットは素早い動きで、高い攻撃力。【つのうさ】、【つのラビ】とも呼ばれるが、調子に乗ると勝てない。
出現率も低く、始まりの森では<幻クラス>なので、主に<テイマー>などが探し、時には、【キルド】に依頼をする人も、そのくらい運が良いはずである。
だが、魔理守はこの幸運が不運に変わっており、[やばい、アイテム使う隙がない!]と不利な状態になっていた。
「しょうがねぇ! 一体倒す! デビルクロー!!」
手を武装した魔理守。
残りMPを全て使う。
「くらえ!」
ピョーン。
かわされてしまった。だが、それが狙いだった。
[今だ、アイテム。]
ホーンラビットが後ろに跳び跳ねた隙に、MPストーンを使った。しかし、もう一体のホーンラビットが、角を突き出し魔理守目がけてつっこんできた。
この攻撃するが決まれば彼のHPが0になり、ドロッブしたアイテムが半分無くなり、SMセカンドマネーが半分になる。
「しょうがないな、後で何か買ってもらうね」
魔理守の後ろから、良く聞いている人の声がした。
バンッ、バババンッ、バンッ。
先程苦戦していたホーンラビットのHPが少なくなった。
「まりりん、止め指さないの?つのラビ逃げちゃうよ?」
逃げようとするホーンラビット。
「わかった。気連弾」
数弾のエネルギー玉が、3匹のホーンラビットに直撃。見事撃破した。
魔理守レベル3へ上がった。
「あっ、7レベになった。」
嬉しそうにしている女の子。振り向くと、あおりんがいた。助けてくれたようだ。ただ、あおりんは、
「そ、れ、で、なに考えてるの?一緒に奥の方に行こうって行ったのに、勝手にやられかけて、何考えてるの?」
少し怒りぎみで強い口調で話すあおりん。心配した……と言うより、勝手に行ったことに怒っているようだ。
魔理守は半笑いで片手を出して「わりぃ、助かった」と言う。
軽い気持ちの彼に、彼女は、
「私が何で怒っているか当てて見て?出来たら許してあげる!」
ちょっと強い口調で言った。
魔理守は
「この森で落ち合うのに、調子に乗って遠くに行って、やられかけたから?それで世話を焼かしたからかな?」
「40点」
魔理守の答えにあおりんは点数で答えた。
彼はその声を聞き、「あおりんの声が少し低い気がするが……]と思い多少の違和感を感じたが続ける。
「でも俺はもう中1で13歳だし、もう一人でも平気だし、まぁ、心配してくれるのは嬉しいけど」
「6点!」
魔理守は大きな過ちを犯した。
「え?どした?なにが?」「それ以上言うと0点!!」
彼女は、『が?』の部分と重なって言った。
「正解言うね!」
「え?」
「拒否は認めない黙ってきいて」
声を荒げるあおりんに、魔理守はしたかなく黙った。
魔理守は、[あ……多分またやらかした]と体がざわつく。
「何で私が怒ってるか、それは、約束を破ったから!」
目が潤っていた。
「私が先にこの世界に来る前、話してたこと言って」
魔理守は考えて小声で、
「一緒にパーティ組んで冒険するってやつ?」
少し申し訳なさそうに言った。それもそのはず、二人は小さい頃から一緒にいた。そういう話もしていた。
また、あおりんの誕生日前にも、
「先に行っちゃうけど、まりりんが来てもいいように
準備してるね!」
「了解!」
そう会話していた。ので、
「私が何でレベル6だったか分かる?あなたと約束したから、一緒にレベル上げたかったから……」
あおりんから涙がこぼれる。
魔理守は後悔した。自分よがりの感情で、約束した事を蔑ろにした事。これで4回だ。本当に申し訳なさそうに感じた。彼は、自分の過ちに心が押しつぶされた。
そのせいで、大切な人を傷つけてしまった。
「ごめん、本当にごめん。俺何も考えないで、勝手にレベル上げちゃって、凄い勝手だけど、葵と冒険したい。次は絶対に」
魔理守は強い罪悪感呑まれ、心の底から謝る。するとあおりんが魔理守の胸元に顔を付てきて、
「とりあえずこうさせて」
「わ……わかった」
魔理守は慰めるように、あおりんの頭を抱きしめ撫でた。10秒ほどたってあおりんが彼の胸に顔を付けながら。
「2つ言うことがあるから聞いて……」
弱弱しい声で、彼に言う。
「あぁ」と答えた。
「1つ目確かにあなたのレベルだけど私は、貴方と冒険する為に、レベルを上げるのを極力避けたんだよ? 今度こそやくそしたことを守ってほしいの」
「わかった、約束する。しばらくレベル上げや冒険は、2人でしよう!」
いつもはぶっきらぼうな言い方な魔莉守は、この時は、優しい声を出す。
「そしてもう1つは……」
そう言うと、彼女は、魔理守に顔を会わせて、
「ありがとう、まりりん」
いつも通りの笑顔で魔理守に言った。
そして何事も無かったかのように明るい声であおりんが魔理守の手を繋ぎ、「それじゃあ行こっか!」と引っ張る。
魔理守が「了解!」と歩き出す。
すると彼女は、振り返り、
「そ・れ・と、私達のレベルが、お互いに10になるまで、1人でレベル上げてするの禁止ね。2人で一緒にあげること。約束ね!」
と笑いながな言ってきた。
そして魔理守も笑みを浮かべ、
「あぁ、約束だ!」
2人は、約束を改めて結び、あおりんを前にして森を歩いていく。
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