1-5 リアル・デビル・キラー

「しっかし、規定もだるいな。守らないといけねぇし」


 ついさっきまでアイテムを買っていた魔理守だった真理守が、不服そうに小声で、つぶやいた。


 SWセカンド・ワールドは、入る事を義務付けられてる反面、戻る事にも義務がある。


 SWについての法律があり、全世界共通である。1日15時間まで、一度に6時間までと決められている。入界時間も、午後1時~2時は必ず入る。現在の時刻は、11時過ぎ。3時間近く入ってた。


 真理守はもう少し入ってたかったが、あまり長くいると夜更かしをして入れなくなるし、SWを出る前に、「夜また会おう」とあおりんもとい葵に言われていたので、真理守は「まぁ良いか! 深夜も行くかも知んねぇし!」と自分に言い聞かせてた。


 ベットでゴロゴロしていた真理守は、


「そろそろ行くか。」


 そう言いながら、したくをして、外へ出かけた。


 葵に会いに行くようだ。


 そして、良く友達と集まるいつもの公園へ行き、丁度葵がいた。


「あっ、まりりん待ってたよ~!」


 真理守を見かけて葵が声を掛けてたきた。


「外で大きな声で言うな」


 顔を赤く染めて真理守が言うが彼女はいつも通りスルーし、


「ねぇ、この格好どう?ちょっと前に買ったの」


 そう言いながら葵は一回転して、真理守に聞いてきた。


「あっ、良いんじゃないか?」


 真理守が答えた。


「どこが良かった?スカート?ミニスカート?この前女子高生見てたもんね!」


 葵の突然の発言に真理守は「え?あっ、え?」軽くパニックになった、。


 たぶん学校だったら大惨事だろう。


 真理守はあたふたしながら、壊れたロボットみたいに声を出しているのを笑いながら、


「相変わらず可愛いね。」


 止めに一言。


[こいつマジで鬼だ]


 顔を真っ赤に染め、そんなことを思いながら真理守は、「可愛いやつの足を踏むか?普通」と葵に強気に出てみた。


 女子高生を観察していた時に、踏まれたらしい。


 しかし、葵は、


「覚えてな~い!」


 ウインクしながら、答えた。


「うっ!」


 少し声を漏らしながら、〔このやろう!かわいいじゃないか!!〕と心の中でそう叫んだ。


 だか、葵の猛攻は終わらない。


「そういえば、女子高生を見てたとき、どこ見てたの?鼻の下を地面まで伸ばして」


「そんな伸びるか、これはなんかの妖怪か!」


「何か涼しかったな、風が強い日だったかなー?チラチラ私のことも見てたし……」


 少し恥ずかしそうに答える。


「それは……不可抗力と言うかなんつうか……」


 真理守はつい目線を下に向けた。


「そんな感じでね」


「ゲッッッ」


 真理守は、もう葵のペースに呑まれてしまった。


「どこ見てたの? あしぃ? あしぃ? あしぃ? どうだった? 見たいの見れた? 私のどうだった? 嬉しい? 他の女の子で舌打ちしてたのあれは何? 何か嫌なことされたの? この子に言ってあげようか? 『まりりんに意地悪はダメ』って。そう言えば寄り道で、風が強い日に、駅前言ってたの何? 帰り道とは違う所にいたけど、確か、学生さんが多かったね! 凄い笑顔でね〜。もう一回笑顔になりたい?」


 そう言って、葵はスカートに手をとり……慌てて真理守は、


「やめろやめろ、すいませんやめてください。本当にごめんなさい。許してください犯罪以外なら何でもします。あっ、何でもではないです。本当にごめんなさい。俺は下等です。ゴミです。命だけは、勘弁してください。」


 必死に謝る。そして葵は、


「うん、分かった。じゃあ、二つお願い聞いて、『聞くだけって無しね!』」


 後半を強調し葵は言った。


「はい、なんでも」


 真理守は了承して


「小さい頃、私のあだ名って、あおちゃんだったよね!呼んで!まりりん!」


「えっ!!」


「分かったじゃ、笑顔にして…」


「あおちゃん」


 紅のごとく顔を赤くした真理守は涙目で言った。


「聞こえないな~」


 にこやかな笑顔をしながらかわいらしい高い声で言ってきた。


「あおちゃん!!」


 大きく呼んだ。


 葵の変なお願いのせいでプライドがズタズタになり、人生が終わった気分の真理守。


「あー恥ずかしかった」


[こっちの台詞だコラ。お前が言うんじゃねぇ]


 口に出すと、確実に大惨事となりかねないので自分の中で言い聞かせる真理守。


「なんかおなかがすいたな~。よろしくね、まりりん」


「わかりました。おごらせてもらいます」


 こうして二人はレストランへと向かった。

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