第6話

 さて、いきなり避難所を飛び出したはいいものの、どこへ行こう。熊本方面か東北方面か。ちろっと考える。多分東北方面のほうが行きやすいだろう。南海トラフ巨大地震で、西日本はめちゃくちゃなことになっていそうだ。

 そして俺は駅に向かった。奇跡的に電車が動いている。新幹線も動いている。ありがたい。まずは仙台に行こう。乗り継ぎが便利そうだ。

 車窓から見えるのは、案の定、災害の被害を受けた風景で、どこも悲惨な状況だった。そしてそれは、仙台駅前も同じである。おそらく、この世界で平穏な地域と被災している地域は前の世界と逆になっているのだろうと思ったが、ここは東日本大震災の被災地とは呼ばれていなかったっけ。ああ、でも、仙台駅前という地域は内陸で、津波の被害は受けていなかった。津波の被害を受けたところだけが、前の世界と逆転する形で平和になったのだろう。あ、あと、原発の避難区域も。そういえば、昔に遡れば東京だって被災している。復旧していたらノーカウントなのかもしれない。と、いうわけで、沿岸部に行かねば。

 路線図を見たら、前の世界でたまに震災絡みのニュースで取り上げられていた、仙石線にここから乗れるらしい。これに乗って行く事にした。

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