第1話 高尾山Mt.Takao

 高尾山(Mt.Takao)といえば、ここでは99ヵ年獲得紛争の始まりの地として知られている。そんな高尾山の周辺に迷人個人情報不所持者がいるとの通報があり、多摩県警察八王子特別署の迷人保護を専門とする職員が対応したようなのだが相当取り扱いに注意を要する人物だった為、多摩特別自治体の私が呼ばれたようだ…。

 ところで多摩特別自治体は多摩特別自治体と多摩県、大月県及び武蔵入間地域特別自治地域によって構成されている。基本的に祭り事…政治を行っているのは多摩県で国家で言うと立憲君主制国家とされている。なので基本的に多摩特別自治体は政治に関与しないのだが、「県職員が対処することが出来ないトラブルが発生した時は特別に特別自治体の長もしくは特別自治体職員の干渉が認められる」という条例がある為、ごくまれにこちらまで業務が回ってくるのである。

 ■■■■

「私、ここの地域の担当者の猿橋水樹ですが貴方の名前は?」

「久保太輔です…」

「(英雄!?でも英雄だとするとこちらの世界では…)すみません身分証明書はありますか」

「はい。」

 英雄と同じ名を持つ者は、財布の中からカードを取り出した。

「マイナンバーカードですか。ちょっと待ってくださいね…」

 マイナンバーの照会作業を行うこととした。

 …

「確認取れました。貴方はここでは指名手配されている上に英雄として神格化されています。県知事選に出馬したら間違いなく当選するぐらいに…」

「ええ!?」

「英雄とは違うのは分かってます。ここの場所が日本国の東京都八王子市高尾町の〇〇電鉄〇〇線高尾山口駅という世界線から来たというのは…マイナンバーカードという名称のカードがある世界線はそこだけですから。」

「え、駅名違うんですか?」

「はい…。ここが相模湖線高尾山駅で、ケーブルカーの駅がケーブル高尾山中腹駅に変更されてるので。」

「は、はぁ…」

「さて、貴方の処理はここの日本国とここの長が行うルールになってて、別世界から来た場合も対象となるので、貴方を多摩特別自治体国家転覆罪条例別世界来訪者適用条項違反ということで拘束します。」

「…」

 ■■■■

【解説】高尾山

 高尾山は古くから統治者に守られてきた山である。多摩特別自治体成立前は明治の森高尾国定公園という国定公園に指定されていた。多摩特別自治体も多摩県もそれを継承するという方針は変わらずに、全域を高尾山自然保護区という開発の罰則付き制限区域に指定したのである。相模湖線の高尾山から相模湖までの工事、高尾山周辺を通る道路の工事は相当自然に配慮した工事となった。

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