第2話初テスト
中学生2日目。どうせ小学生のころと同じように授業聞いてればまあ簡単に100点なんか量産して勉強を対してしていない私が"また"主席に収まるであろうと思っていた。
中学入試なんてそれはとても簡単だった。私なんて200点満点中126点。小学生時代に一緒に受けた同級生に聞いてみればそれはもうぶっちぎり。
つまり簡単に言うと天狗であった。
「今日はテストだねー」
「ほんと。なんで入試をした上に入学早々学力調査テストなんてするものかね。ありさくん。私には理解できないよ。」
「なにそれ~。なんか私ワトソン君みたいじゃん」
「自分でワトソン君言うか…そこはワトソンじゃ…」
「いやだって年上だし、……ねぇ?」
何だ今の沈黙は。
そうこうしているうちに電車がついてしまった。電車の先頭車両乗ろうよ!どうせ乗るなら一番がいいじゃん?とありさに言われた私は見事に掌で転がされてしまった。
だって面倒って言ったら悲しそうな顔するだろうし、その名案思いついた!みたいな大人びていない表情を見ると和むし。
まあその結果その車両は中央部に比べ比較的にすいていたようで座席に座れたんだけどね。
「家から駅まで行って、学校の最寄り駅着いたらそこからさらに学校まで行くなんてなんか新鮮だね~」
「確かにそうだね。でも、公立と違って先に高校生みたいな生活して一歩大人な気分」
「いいなー雫ちゃんは。もともと大人っぽいし~」
「それはありさがただ子供っぽいだけだよ」
そんな他愛のない話をしていればほら、もうすぐそこに学校が見えてくる。
私はこのクラスで最も早くテストが配られる権利がある。
それは超どうでもよくて、ただ単に席が一番前だからそうなだけであって。
そんなどうでもいいことを考えていればもうテスト5分前。筆箱を取り出してみればあることに気付く。
そうだ、私は中学生になったのだった。少し大人に近づいたと喜び、筆箱の中身を全部新しく取り換えたのだった。
――鉛筆がない。
これは私にとって絶望的事態だった。もちろん日本が世界に誇る電機メーカー、SHARPが一番最初に作ったシャープペンシルがあるため、書くものがなくて困っているわけではない。
かといって小学校時代私は鉛筆の後ろについていた消しゴムのみで6年間を過ごし、シャープペンシルの後ろの消しゴムの量に絶望しているわけでもない。
六角鉛筆がないのだ。三角鉛筆ではなく六角鉛筆。三択問題までしか用途がない三角鉛筆よりも、六択まで対応の六角鉛筆がないのだ。
記号問題で絞りに絞ってわからなかったとき、この鉛筆が非常に便利だったのに。この丸いシャープペンシルではできないではないか。
時間はなかった。私に許されたのはありさに声をかけようと振り返り、彼女の席を見てみればそこに六角鉛筆が握られていた事実だけだった。
「はじめッ!」
静寂が訪れる。やはりテストとはこうである。普段のテストであれば自分の知識を基として、次々と問題を解いていくのだが、今回ばかりはそうはいかないようだ。
現にここまで冷静に分析できている時点で大変である。いや、我ながら素晴らしい分析力だ。
何故集中できないないのか。至って簡単である。人は人生で初めてのものでも身に着けて大舞台に出たらどうなるであろうか。
大舞台いえどまあ経験はあるとして。どこかおかしくなるだろう。
つまりそういうことである。人生で初めて握ったシャープペンシルでテストに挑もうという志こそが間違っていたのである。
うわあああああああああああああああ昨日の学校の準備をした私のバカあああああああああああああああああああああああああ
「テスト、小学校の復讐だったし簡単だったねー」
「そうだな、簡単…だったな…」
「雫ちゃん?豊齢線が出てるよ?老いたの?」
「疲れたんだ…これ以上聞かないでくれ…」
「えっ?何々?逆にそう言われちゃうと気になっちゃうよ~」
「ダメと言ったらダメだ。ヒントはルーティン」
「出ました五郎丸!我らが日の丸日本代表のエースだよね!」
「よし、そういうことにしよう。そういうことにしておこう」
「えっ、ちょっとまってよ~しずくちゃ~ん」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます