第4話 無意味の先へ



 果てを見渡す。


 歩き続けた人生の先は、無意味で溢れていた。


 どんな努力も、どんな才能も、果てに着いてしまえばすべてが無意味だったと、何もかもが報われないのだと、私は思い知る。


 世界は美しい。


 残酷な真実を内包しながら、誰もが目を逸らしたくなる事実が存在しながら、それでも世界は美しさを保ち続けている。


 冗談であれば、これだけの傑作はないだろう。


 しかし、それは紛れもない真意で、この世界のあるべき姿そのものなのだろう。


 世界は不平等だ。


 誰もかれもが幸福を享受できず、この世に生を受けた者すべてが自らの人生に意味を見いだせず幕を閉じる。


 意味など、手に入れたところで無意味だから。


 意図など、人間が生きる上では不必要なものだから。


 ではなぜ、私たちは思い続け、願い続け、叶え続けて探し続けなければいけないのだろうか。


 無意味ならば、無意志ならば、そんなものはいらなかったのに。


 この光景は、それを雄弁に物語っている。


 人の歩みの果てに、無意味が存在する。


 ならば、その道程に意味は存在するのだろうか。


 やがて無意味に到達する道程に、果たして意味はあるのだろうか。


 きっと、その答えを私は持っていた。


 どこかで落とした大切なものの中に、きっとそれはあったはずなのだ。


 歩き続けるために、忘れていった物たちの、者どもたちの中に、私の人生の意味が、あったのだ。


 ならば、この人生に意味は確かに存在した。


 果てに着いた私には、それを手に入れる手段は、すでに無くなってしまったけれど、その人生に、意味があったとすれば、私は救われる。


 こう考えるのはきっと理想にすぎないけれど、希望的観測にすぎないけれど、思うことは自由なはずだ。


 だから、私はここで待ち続ける。


 やがて来る希望と、願いを抱いた私の訪れを。



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