第153話 ジャイ子の出産5
ジャイ子はどうやら卵円孔(産まれた時に閉じる心臓の孔)が閉じてないらしいと入院中、検査後に言われました。
心臓と言われてどきり。
結構良くあることです、そんなに重く考えないでくださいね、と先生にも看護師さんも言ってくださいましたが。
長男の時には全くそんなことがなかったので、私は不安になりました。
手術とかせなあかん程度やったら怖いなあ。入院中、ずっと心配しておりました。
ですが退院前日の検査で、特に問題なく日常生活ができる程度まで閉じたということで安心しました。成長するにつれて、完璧にとじるかもしれないし、少し開いたままかもしれない。大人になっても、少しだけ開いたままの方は割といらっしゃるんですよ、と先生が説明してくださり、安心いたしました。もちろん、明日退院です。
検査を終えて戻ってきたであろうジャイ子を迎えに授乳室まで行きましたら。
なんだかものすごい泣き声が聞こえていました。
ウ、ウチの子やと思うけど。えらいかすれた声してまんな。
看護師さんがあわてて私の元へ来られました。
「ごめんなさいね、検査ですごく泣いちゃって、吐くほど泣いちゃって。着替えさせるからちょっと待ってね」
奥から小児科の先生の怒ったような声が聞こえてきました。
「だ、れ、が、この子を、こんなに泣かしたんや……俺か?……俺か!……俺やな」
自分ツッコミをニヤニヤ聞きながら、授乳室の他のママさんとお話ししました。
ちょうどおられた二人のママさんは、私が陣痛室にいた時に先に居られた二人!
お二人とも元気な赤ちゃんをお産みに。どちらもお一人目。
私のしばらく後で、朝からいたママさんが、それから時間がかかって二日間陣痛が続いたママさんが出産されたそうです。
『さっき来た人だと思ったら、もう分娩室に行って、すぐに赤ちゃんの声が聞こえてきたから、びっくりした』
『ああ、分娩室に行ったらすぐ産まれるものなんだな、て思ってたら私の時は全然違うからショックだった』
等々。
『初産と比べてどれくらい早くなりました?』
の質問に。
『同じくらいです』
答えた私に、うらやましい〜、とお言葉をいただきました。
私、今回いきまずに産まれたんですよ、との告白に『そんなことがあるんですか?』と、驚きのお二人。
そんなことがあるんですね。
ところで、私のしばらく後で出産されたママさん。ウロウロと座らずに歩き回っておられます。
『会陰が痛くて。座れないんです』
顔をしかめてそうおっしゃいます。
『会陰縫うの、どれくらい時間かかりました? 私、一時間ぐらいかかったんですけど。痛かったし』
一時間?!
そんなにかからなかったですし、全然痛くなかったですよ、とびっくりして答える私ともう一人のママ。
『ああ、やっぱり先生の差かな。結構裂けちゃったせいもあるだろうけど、私、多分新人の先生で』
三十分ぐらい、ちくちくと縫われていたそう。
『ずーっと脚開いてるの我慢出来ないじゃないですか、疲れて私、何回も先生の顔、太ももで挟んじゃって』
そうでしょうね。そうなるでしょう。
『それでやっと終わったと思ったら、上の先生がチェックしに来て「……やり直し」って』
ひー! やり直し!
良かった、わたし、良かった! ベテラン先生で!
ちょっとの時間差で、このママさんの身だったかもしれない私。
つくづく運が良かった、と思った私でありました。
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