第78話 図書室

 この間長男の小学校の入学式に行きましたとき。

 保護者の待機場所は図書室でした。

 田舎の小学校の図書室なので、蔵書量はかなり少ないですが。主人と見て回りました。

 懐かしい本がいっぱい。

 私は小学生の時に人生で一番本を読んでいたと思いますけれど。

 やっぱり児童書、というのは本の中でも面白い本ばかり。どんなお話よりも児童文学に勝るものはないのではないかな、と思っています。

『ルドルフとイッパイアッテナ』『おれがあいつであいつがおれで』『放課後の時間割』『目覚めれば魔女』『りんごの木の上の宇宙人』などなど。私が今でもあらすじを覚えている本です。

 クレヨン王国、ぽっぺん先生、シートン動物記、子供向けに書かれた江戸川乱歩のシリーズは読みましたねえ。小林少年のファンでした。


 低学年むけのお話では。

『びゅんびゅんごまが回ったら』 このお話に出てくる校長先生、超ダンディでかっこいい。いまどき、こんなに校長先生らしい校長先生いらっしゃるかしら。

『おしいれのぼうけん』戦慄のホラー。これに出てくる|ねずみばあさん(・・・・・・・)を上回る、恐怖のキャラクターなんてそうそういないのではないのかしら。

『大当たり! アイスクリームの国へご招待』 一日で育つアイスのタネ! 欲しかったなあ。子供の夢!


 主人とこの本、読んだことある? などと話しながら見てまわりましたが。

 主人は子供のとき、本は全然読まなかったとのこと。(今も、そんなに読みませんが)

 そんな中、衝撃の本を見つけました。


『東京島』。


 えええ!? 読んだことはないですが内容は知っています。まさか小学校の図書室に置いてあるなんて。

 え? これはもしや先生の希望で取り寄せたとか?


 香山リカさんの『NANA恋愛勝利学』。


 手に取ってぱらぱらめくって目に入ってくるサブタイトルにびっくり。


 《不倫は期間限定で》 《好きでもない相手の子を妊娠したら》 etc.……


 うおう! イマドキの小学生はこんなレベルの本を読んでるんだな!

 ちょっとジェネレーションギャップを感じました。


 うーん、でも私も本が好きだったから母が読んでた本『大地の子 エイラ』シリーズを小学生の時に読んでたりして。結構な描写のレベルの本を読んでましたね。そういや。ドキドキして。

 でもすんごく面白かった。止まらない。

 読んだことがある方ならわかってくれますよね。

 舞台は氷河期と氷河期の間の阿寒期。

 孤児のクロマニヨン人の美少女エイラがネアンデルタール人の一族に育てられ、波乱万丈な人生を送る壮大な物語。

 もう一度、再読してみたいなあ。最後まで読んでないんです。

『恋をするエイラ』を読んだときなんかはね。(知らない方には全然分からないお話しですが)

 ヒロイン「エイラ」と相手役「ジョンダラー」の濃厚ラブラブシーンは、うおう! なわけですよ。小学生には刺激強すぎ! おかあさんに怒られるんじゃないかと思った! いや、大人になった今でもアレは読むの、人目をはばかるといいますか。

 大人になったらこんなに素敵なことができるんだな、と。

 小学生だった私に、将来への過剰な期待を植え付けてしまったという意味では、あれはやはり小学生で読む物語じゃなかったな。せめて、高校生になってから。

(あんなに濃厚なラブラブは日本人ではそうそう無いと思うのです)


 それにしても、小学校の図書室、でですよ。イマドキこんなもんかしら。

 私が小学生だった時には図書室でいちばん色っぽい本と言えば。

『おかあさん』と『おとうさん』。

 ぐらいだったと記憶しておりますが。みなさんも一度は見たことあるのでは?

 大判のイラスト中心の本で内容は性教育的な。

 一度、友達と図書室で興味本位でその本を開いているときに(1年生か2年生ぐらいだったと思います)それを見た上級生(高学年)のおにいさんにひやかされて、あわてて友達とその本を元の場所に片付けにいったという思い出があります。


 そういえば、友達から聞いたエピソードをひとつ、思い出しました。


 ~ある学校の〇年生、A君は図書室から本を借り、うっかり返すのを忘れていました。

 ある日とうとう、図書委員から全校内放送が。


『〇年〇組のA君。「おかあさん」いう本の貸し出し期限が過ぎています。返してください』


 A君は本を胸に抱いて泣きながら図書室に走って行ったそうです。~


 うん、いいさらしもんですね! 生贄というか。

 図書委員の先生だか、お姉さんだか、もうちょっとデリカシーってものをもってくれてもねえ?


 情報あふれる現代より、一昔前の私たちが小学生だった時代は、可愛いものでしたよねえ。

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