第65話 愛すべき少年たち

朝、保育園に登園した私。

 登園時間や降園時間を紙に記入していた私に長男のクラスのお友達二人がコマを持って話しかけてくれました。


「俺のコマ、きれいやろう」


 目の前で上手に回してくれるU君。

 自分でマーカーで何色にも塗った木のコマは、回るととても綺麗です。

 何色も色を入れるから綺麗なんですよね。


「ほんまやなあ。きれいやなあ」

「なあなあ。☆☆ーのおかあさん、☆☆ーはコマの色何色に塗ったと思う?」

「ええ? 分からん。何色に塗ったん?」

「☆☆ー。最初、茶色一色で塗ってんで!」


 あはは、と笑って教えてくれるU君。

 茶色。一色。

 狙ったのか。それとも後先を全く考えてないのか。

 間違いなく長男は私の血をひいているな、と思いました。


「なにそれ、ウン〇みたいやんなあ」

「あはは、ほんまや。ウン〇色やんなあ」


 笑いあう私とU君の隣でもう一人のM君はぼそっと一言。


「どんだけおもろいキャラやねん」


 きゃあ、キタ! 萌え!


 そうなんです。このM君は私の超お気に入りの男の子なのです。

 大人っぽい。クール。就学前とは思えないつっこみをぼそっ、といつも聞かせてくれるのです。

 歳の離れたお姉ちゃんがいるからかなあ。なんにせよ、大人っぽいのです。

 それだけじゃなくて。

 何事もM君はソツなくこなすのです。

 お友達との付き合いはだれとでも公平にさわやかに。ぎゃあぎゃあと騒ぐような様子はあまり見られず、あくまでさわやかに、落ち着いた感じで。

 足が飛びぬけて速いとか、そういうのではないのですけども。

 何事も平均以上の点を打ち出すといいますか。

 カルタとか、コマとか、フラフープとか、けん玉も。

 誰がすごいの? 上手やの? と長男に聞くと、いつもその中の一人には必ずM君の名前が出てくる。

 ひょうひょうとすべてをこなすんですね。

 大きくなったらモテるんだろうなあ、と今から私はドキドキしておるわけです。

(小学校ぐらいまでは、一番足が速い子、とかがモテるんでしょうけど。中学校ぐらいになるとバランスのとれた子がモテますよね)

 どうやったらこんな子になるのかしら。

 ご両親の育て方がいいのかしら。

 やっぱり、生まれ持ったものだろうなあ。センス、がいいんでしょうね。生まれつきセンスがいい。


 こんなM君も保育園の夏祭りでは可愛い面をみせてくれました。

 先生方が演じてくれたお化け屋敷で。(かなりリアルでレベル高い)

 私の長男といっしょに行こう、と並んだM君ですが。お化け屋敷に入るなり、後ろをむいていっしょに歩いていた私の足に抱きついて顔を埋めてきました。

 きゃあ! 萌えー。

 しょうがないので抱っこしてお化け屋敷を回りおえました。その最中、M君はお化けが目に入らないように必死に私にしがみつき顔を私の肩に埋めたまま。……萌え。

 え? そのときの私の長男ですか?

 M君といっしょに入り口の前に立ったのはいいですが、ちらりと中からのぞき見えたお化けの姿に恐怖で真っ青。

 ちびりそうな勢いで猛烈に入るのを拒否したんで、入り口に置いてきました。(私の息子は正真正銘のチキンですから)


 さて、M君の他にわたしにはもう一人お気に入りの彼がいます。

 S君。

 一番身長が高い。ご家族が長身の家系なので将来身長180㎝以上に成長することは確実。

 身体能力が高い。足が速い。

 まあ、ごんたさんです。口調も行動も、男の子っぽく乱暴者。けんかっぱやい感じ。

 でもそんなS君は。

 発表会とか。参観日とか。

 そういう場ではすごーく小さくなってしまうんですね。

 後ろに引っこみ、目立たないように。舞台の端で。みんなから一人離れ、出してるか出してないかの声で小さく歌う。


 ……超、恥ずかしがり屋さん!


 そのギャップに萌え。

 これぞ、元祖男の子、て感じじゃないですか! 


 え?

 私の長男ですか? クラスではどういうポジションにいるのか? と?


 ずばりいうと。

 クラスに必ずいる『一番うるさい男子』、です。


 とにかく声がでかい。

 先生から『ちょっと☆☆君、もう少し小さい声でお話しようか』といつも言われてます。

 お歌の発表会でも一人、群をぬいて声がでかい。しかも音痴でみんなより少し早く、超目立つ。(でも、元気で歌ってるからまあいいか)

 昔からそうなんです。もしかして耳が悪いのではないかと心配したこともあります。(調べたけど異常なし)

 横浜の保育園にいたとき。

 平日仕事が休みだったときの私は買い物途中で、散歩中の保育園児の集団と鉢合わせしたことがありますが。

 なんか、たった一人ででかい声で歌うたってる子がいるな、と思ってよく見たら……ウチの子やん!

 なんか、一人だけうるさい声でしゃべってる子がおるな、と思ってよく見たら……ウチの子やん! (声で気づけ!)

 そんなことが数回ありました。

 ちょっと気の小さいお友達なら、長男の声の大きさにいつもびくっ、としちゃうくらい。

 私も主人もうるさい子じゃなかったのに。どちらかというと大人しい子だったのに。不思議です。

 今なら、いや、小学生ぐらいまでなら元気な子、としてみんなから見られるのでしょうが。

 中学生ぐらいになると、女子から『☆☆、あいつうるせー』とうざがられたりしないかと心配です。


 保育所年長さんにもなると個性が際立って、いろいろなキャラがクラスの中で確立されていくんですね。

 やっぱり男の子はかわいい。

 私が異性の女だからかもしれませんが。

 自分の子もよその子も。男の子は無差別にかわいいなあ、と思ってしまいます。

 反対に女の子は。自分の子ではない女の子は本当に容姿が可愛い子、または自分の好みの子しか内心かわいいと思えません。(問題発言? いや、でもやっぱりそうでしょう。ねえ?)

 パパさんだとこれがやっぱり逆になり、女の子であるだけで無条件でかわいいと感じるのかなあ。


 そんなことを考えました。







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