第37話 下着3
私はお尻は大きかったんです。
胸はないけど、お尻は大きいYO!
こんな女性いっぱい、いますよね。
お尻がでかいというより、もともとの器、骨盤が大きい、というんですか。
赤ちゃんすっぽり一匹入っても安心な広さの骨盤。だから妊娠してもおなかが目立たない。
まあ、それはいいんですよ。そういう骨盤だったので、超安産体質だったし。
姉に言われた一言、「お尻が4つ」に少々不安を覚えましたが、それはたまたま補正下着のボディスーツがずれてくいこんでいただけだろう、とそのときは思いました。
でも最初から少し違和感を感じていたのですけどね。
ガードルの上にボディスーツを履くと、生地をがんばってひっぱっても、どうしてもずれてお尻が全部ガードルにすっぽりとおさまらない。ボディスーツとガードルの境目からみょん、とお尻のハミ肉がでてしまう。まあ、これも着続けるうちにお尻が小さく上がっておさまるようになるだろう、とね。お店のおねえさんにもそう言われて。安易に考えていたのです。
しかし、それからいくばくも経たないとき。
主人(そのときは彼氏)が大阪南港に一晩停泊するというので、久々に会いに行きました。
何か月ぶりとか、そういうものだったと思いますが。
「なんば」までいそいそと出かけました。
……そして再会後、ホテルでシャワーを浴びて着替えようとする私を見て、主人が放った一言。
「お尻、形、ヘンだよ」
え?
「ヘン?」
じっと、主人が後ろから目をこらして私のお尻を見つめます。
「うん。横に、線が入ってる」
横?! 縦にじゃなく?
……そうです。
私の身体は乳首に引き続き、またもや変貌を遂げてしまったのです。
『妖怪四つ尻女』へと!
―――――――――
やっぱりね。
どこぞのわからん下着メーカーより、ワ〇ールさんのような大手のメーカーさんにオーダーメイドで作ってもらうべきだったのですよ。
(後で調べたら、そっちのほうが安いし、デザインも色も豊富だし!)
サイズSS~LLという大雑把にひとくくりしたガードルで千差万別の人の身体がおさまるか、っていう話ですよ。
でも、もう遅い。
私は、またやっちまいました。
……割れてしまったお尻は元に戻らないのです! (今でも、右のお尻だけ二段になってます)
ああ……ああ……。
何やってんですかね、私は。
前だけ見て後ろ姿は鏡で見なかったからなあ。
即刻、補正下着の着用をやめました。
二度と、着るか!! バカやろー!!
着用をやめると、一キロ、痩せました。
あれだけぎゅうぎゅうしめつけられて、食いこんでいたのです。
血流とかリンパの流れとか、いろいろなものが阻害されてたんでしょう。当然です。
百害あって一利なし!
くそう。
それからはやけになった私は、もう何もしませんでしたけどね。
ありのままで! 下手に手をくわえないぞう!
……そうして日が経ち、ある日私は天使のような下着に出会いました。(天使のブラ、ではないですよ)
それは。
『妊婦用下着』!!
なに、これ……!
特大の妊婦用ショーツに私はうっとりしました。
細部まで身体をいたわる慈愛に満ちた商品。
おへその上まですっぽりと包む究極の安心感、暖かさ!
ブラも、ワイヤーなしで本当に覆うだけね!
まさに救世主!
そう、これが、本来の下着、でしょ。
わけのわからんツルツルした生地で局所しか覆えないような小さい、ピチピチした布きれなんて。下着とはいえない。
下着は、保温、肌への優しさ、があってこそ、でしょう?
身体に優しい、綿100パーセントの特大サイズであるべきです!
女性の皆さん、そろそろやめましょうぜ。
拷問のような布きれに身を包むのは。
身体を締め付けない、お肌へのやさしさバツグン、ゆったりとした暖かいコットン下着に乗り換えましょうや!
気持ちいい! 心地いい! 最高!
そう、なんで女性ばっかりが窮屈な思いをして、あのような下着を身に着けなければならないのか。
……え?
何ですか、男性の皆さん。
色気も何もない。目を楽しませる下着を着けろ、と?
……だったら、そっちもトランクスやブリーフは止めて、『ムタンガ』を毎日着用しろおお!!
わたしらの目を楽しませろおお!!
そうですよ、それと同じなんですよ。
ブラや小さいショーツを毎日着用することは、ムタンガを毎日着用することと同じですよ。
そーだ、そーだ。大体、男性は身体のラインが出ない服ばっかり着て、ラクをしすぎてるんだ。
ムタンガ、もしくはバレエダンサーのタイツ着用を男性に義務づければいいんだ。
自分の身体があらわにされて、品定めされる屈辱を毎日味わえばいいんだ。
と、いうわけでして。
下着は身体に優しくあってしかるべきもの。
おしゃれでかわいい、面積の小さな、化繊製品のピチピチ下着は、デート前だけに着用するだけでいいんじゃないですか?
という私の意見でした。
あ、あとムタンガの日本流行、求ム!
フンドシリバイバルでもいいですよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます