第7話 日記

主人の話をする時に、必ずネタとしてお話しさせていただくことがあるんですよ。


主人と私は付き合い始めた当初、交換日記をしておりました。



……ええ、分かっておりますよ。

……自分たちがどれだけイタかったか、てことは!




時代はすでにケータイがあったんですぜ?

白黒から、カラーになり、写メール機能が騒がれだしたその頃ですぜ?


それを18、19歳の男女がですぜ?

今時、交換日記なんて小学生でもしないでしょうよ。

もしかして、死語? 死語になってますかね?


……まったくもっておはずかしい限りですが、お互い初めて彼氏彼女が出来たってんで、脳内お花畑だったんでしょう。



さて、交換日記といえば、私が小学生の頃女子の間で流行っておりましたなあ。十人ぐらいで回すものですから、なかなか自分の番が回ってこないとか、男子に読まれて誰々ちゃんの片思いの相手がクラスのみんなにバレて大問題になったとか、そういう思い出があります。


あと、友達の女の子でお父さんと交換日記をしてるという子もいました。

一度見せてもらいましたが、宿題の日記を提出して先生が添削してコメントを書くそれと、なんらかわりはありませんでした。

今になって思うと、思春期に突入する娘との唯一のつながりを確保するという、お父様の策だったのでしょうかね。

思春期になると女の子はお父さんを避けようとしますからね。



話がそれました。私と主人の交換日記の話に戻ります。


飽きっぽい私は、すぐ飽きてケツを割りました。

ですが、その後も主人は一人で日記を続けておりました。


何ヶ月か経って、関係も進みました頃、ふと思い出した私は日記を読ませてもらいました。


……日記は、日記風官能小説へと変貌しておりました……。



ちゃん、ちゃん。



……じゃ、ありませんよ。

おいおい。


とんでもありませんぜ。あー、危なかった。

青くなった私は、もし別れるときは自分の目の前で燃やしてや、と主人に言って約束させました。


それから、十年後。


今、日記は行方不明となっております。

多分、主人の実家のどこかにあるんだろうと、主人は申しますが。


まあ、主人とは別れなかったのでそこは良かったんでしょう。


願わくば、お義母さまの目に触れませんよう……!


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