第十三幕『邂逅』
扉の先に驚愕の光景が広がっているのはもう慣れつつあったが、今日三度目の驚きは、どちらかと言うと畏怖に近い驚きだった。
扉の先の薄暗い部屋の中央には、ぽつんと棺桶が置かれていた。棺桶とは言え、黒塗りにされ蓋には豪華な装飾がされ、金の彫刻が作り上げられた当時と変わらぬ輝きを放っているようでぞっとした。施錠がされた蓋の鍵穴に見覚えがあった。
「レヴ、ばあさんの言ってたのはもしかして」
「……かもしれませんね」
少し震える声のレヴが鍵を握り、それを開鍵する。
重い棺の蓋を開けた先に横たわっていたのは、シワシワのカラカラに干からびた一体のミイラだった。
「どうしてこんな所に安置されてんのかは知らねぇが、遅かったって所か?」
「分かりません。おばあさまが知らずに僕に行けと言うはずはありませんし……でも」
もしかしたら、とレヴの口から言葉が紡がれようとした瞬間、激しい音を立てて扉が吹き飛んで来た。間一髪、俺の横を粉々になった木片が通り過ぎる。が、ドカ、と鈍い音を立ててレヴの頭に木片がぶつかり、その体が口を開けていた棺桶の中に倒れた。
「まずいぞ、奴らだ!」
メーヴォの声に振り返れば、扉のなくなった空洞に骸骨兵が押し寄せていた。
ああ何てこった万事休すか。
「マリーベル様」
突如、その声が部屋の中に響いた。あまり振り返りたくなかったが、ちらりと俺は視線を棺桶に移す。
カラカラになっていたはずのミイラが、体を起こしてレヴを抱えている。その口元に血が飛んでいる。
「マリーベル様!マリーベル様、私はお待ちしておりましたよ!」
ミイラが必死に気絶しているレヴに語りかけてる。どんな光景だよ!それに誰だよマリーベルって。って言うか何なの。ミイラさん生きてたの?そんな事よりどうすんだよ、この状況!
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