第十一幕『登場』
倉庫の外の様子を隙間から鉄鳥を飛ばせて確認し、ホールへと向かう。ダンスホールでは客人とクリストフ提督たちが隅に集められて倒れている。意識のある者、無い者と様々なようだ。そこにディオニージの姿も確認する。意識はあるようで、その視線の先にはあの偽金獅子が居る。
展示されていた宝石たちは大方ケースを壊されていた。しかし幾つかのケースはそのままだ。確かアレには防御の魔法がかかっていたはずだから、一定以上のダメージを与えなければ破壊は出来ないはずだ。そう言う点では爆薬を使った爆破の効果は大きい。さて、どうやって乗り込んでやるか。
『鉄鳥、防御の全てはお前に任せる。いけるな』
『勿論でございます。わたしくめにお任せを!』
破裂しそうな心臓をぐっと押さえて、ホールの中に足を踏み出す。私はパセーロ。女海賊パセーロ。
「ちょっと、これはどう言う事なの?」
女の声の高いはホールによく響く。一斉に偽金獅子たちの視線が此方に向けられる。その視線が全て驚愕の目をしていた。ソレはそうだろう。見張りのいた屋敷の外から入って来たと思っているんだろうから、どうやってと思うのが正しい。
「誰だ貴様!」
「それはコッチの台詞だよ!テメェらのお陰でコッチは計画が狂いっぱなしなのよ!」
いけない、口調が安定しない。口調を強く、女言葉はそのままに……。
「威勢が良いな、お嬢さん。俺たちは金獅子海賊団だ。恐れ戦いて逃げるなら今のうちだぜ?」
「金獅子なんて聞いた事がないわ!アナタたちはさっさとこの場をクイーンオブパイレーツ・パセーロ=ローゼス様に譲りなさい」
「聞いた事ねぇな、そんな名前はよ!」
「だったら覚えておきなさい!世界中の海がアタシのモノになるんだからね!」
言いやがるぜこのアマァ!と、海賊たちが武器を構える。大抵は飛び道具。頼むぞ鉄鳥!
『あるじ様、わたくしを前に!』
一斉に撃たれた銃砲と、投げられたトマホークが迫る。右に体を反転させ、鉄鳥の広げた翼で全ての飛び道具を防ぎ、弾き返した。
『流石』
『朝飯前でございます』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます