第三幕『驕り』
その数日後。
食料や船内で使用する油の補給のために港へ寄った。港で寄港する船のチェックを偽名でかわし、素知らぬ顔で街へ入る。船から下りたのは船医、情報屋、調理部隊の面々、そして僕とお掃除隊の異名を持つクラーガ隊の船員二名。
船医は医薬品の購入、情報屋は文字通り情報収集。調理隊は勿論食品の買出し。僕たちはその他の生活雑貨の買い出しだ。力自慢の二人には大量の油や火薬を抱えさて船へと戻らせ、少し一人になりたいと言って分かれた。一人では危険では?と心配する鉄鳥を言いくるめ、僕は一人雑踏へ身を潜めた。
武器屋と鍛冶屋へ立ち寄って、火薬や銃の部品などを見て回った。
店主たちが一様におや、と言う顔をしていたのが目に付いたが、商人や海賊相手に、金さえ出せば商売をしてきた連中はそれ以上の反応は示さなかった。堂々としていれば案外、人はこちらを気にしない。平静を装う事は慣れている。
身なりもきちんとした今、手配書が回っていようと、他人のそら似でやり過ごす自信があった。殺人鬼ではと目を付けられるのは想定の内だった。
気を良くして一人酒場に入ったのが間違いだったと、後悔してもあとの祭りだ。自分が置かれている状況に冷静に対処出来なかった。
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