全ては予想外で始まり、予想外で終わる
ミリアルくんに、"キョンシー"を停止させ、皆で晴れやかに帰還。
「主上!いきなり、敵が倒れまして…!」
「首謀者を取り込んだから、もう大丈夫よ。
もー、カリンってば最高ね!」
皆、目が点だよ。
「ハクロ、クガイ。皆への説明は任せたわよ。」
「「御意。」」
二人を残し、四人で話ながら歩く。
「…で?ミリアルはいいとして、あんたはいつまで抱き着いてるのよ?」
あ、青筋。
「離したら…、居なくなっちゃうかもしれないですわ!」
帰りにくいなー。一回帰りたいんだけど。
逆側のボクが来た方の門を眺める。
……何か、光ってる?
二人を引き剥がし、そちらへ向かう。
「カリン?」
シェンくんが怪訝な顔をする。
皆でそこに向かった。
「この井戸、光ってない?」
「…ウェルグランドの井戸だわね。
なんだかカリンの行動でさえ、誰かに…。
まぁ、待ってる人がいるんだろうし。
戻れるときに戻らないと、戻れないかもね。
…ちょっと淋しいけど、また会いましょうね?カリン。」
「ま、待ってくださいませ!カリン様!」
「…何処に戻るの?」
「…ボクの世界に、だよ。ごめんね?楽しかったよ。
ボクはゆーまんと帰る。」
ボクは、井戸に飛び込んだ。
もう、ボクの役目が終わりだといいなと思いながら。
「……いってぇ!」
また、ケツ打った!
「か、華凛?!」
「え?ゆーまん?!」
ボクは、ゆーまんを見た瞬間、抱き着いた。
わかんないけど、何かゆーまんに会いたかったんだ。
「か、華凛?よかった。元気に戻ってきて。」
ゆーまんも抱き締め返してくれる。
安心するなぁ。
「ちょっとちょっと!俺も感動の再開なんだけど!」
あ、マクシミリアンくんもいたんだ。
会話をしようとした瞬間、別の井戸が光だした。
「「え?」」
引き込まれるようにボクらは井戸に落ちた。
あ、あれ?ここは、神社?戻ったの?
「か、華凛?!大丈夫か?」
「うん、大丈夫…。」
ボクは、体制に固まった。
また、下敷きにしてるじゃないか。
でも、怒らない…。
「…ねぇ、やっぱりさ?ボク、ゆーまんと一緒じゃなきゃ嫌だ。」
「華凛…。俺も、離れて再確認した。
おまえがいないだけで淋しいって。」
意固地になってただけ。
「…ボクに毎日味噌汁を作ってくれ。」
「…あらあら、何?そういうこと?」
…何故かママがいた。見られた!
ママに見られた…。
ボクの渾身の一言が滑ったし。
「まさか二人でこんな大胆な♪」
ママは買い物のついでに、ボクを探していたらしい。
なんてことだ。
タイミングが悪すぎる。
「悠真くんがいるなら、大丈夫ね。じゃ、買い物の続き~♪」
そのまま、買い物に戻っていったけど、絶対ゆーきちゃん(ゆーまんママ)に報告する気だ。
「…あの、続きなんだけどさ。"味噌汁"ってのは…。」
「…もう!ボクなりの告白なの!
井戸以外に好きなのは、ゆーまんなんだよ!」
あー、恥ずかしい…。
「"味噌汁"って…プロポーズじゃねぇの?」
ゆーまんが真っ赤だ。
ヤバい、プロポーズされ過ぎて、順番間違えた…。
「…他の誰かじゃ嫌だよ、ゆーまんじゃなきゃ。」
「そっか…。俺、華凛が好きだ。
誰かがおまえを欲しいって言われるたびに、躍起になってた。
本当はもう、好きだったんだって気づかされたよ。」
「う、うん。ボクもゆーまんが好きだよ!井戸と同じくらい!」
「今はそれでいいよ。」
ゆーまんはボクの頭を撫でてくれる。
皆に出会ったから、気がつけたのかな……。
背後からざわざわ話声がする。
振り向くと、そこには………。
「「な、何で…。」」
「ここが、カリンの世界かー。何があるかな?」
「空気が澄んでおりますね。」
「あちらに見たことのない建物が!」
マクシミリアンくんとイレイスさんと女の人?
「先ずは、カリンの母上にご挨拶よ!」
「私が先ですわ!」
シェンくんとシュンカちゃん。
「母上…、きっと美しいんだろうな。」
「見境ないですね、マサチカ王子。」
マサチカとチヨヒコと頷くオハナちゃん。
『…何言ってるの?カリンは僕のお姫様なんだから。ねぇ?ねえ様?』
『娘か、妹か。どちらもよいのぅ。』
「お母様、叔父上にも譲りませんよ?」
マリウスくんとフェリーシアさんとフェルナンドくん。
『お、王子!王女!』
『ミリアル?』
『ミリアルではないか!久しいのぅ。』
ミリアルくんまで。
大所帯だな、をい。
「…アンジェまでいやがるな。あとは、他の国のやつらか?
おまえ、どんだけモテてんだ。」
「…うん。いや、自覚はない。」
「「「「「カリン!!」」」」」
あ、やべ。見つかった。
……先が、思いやられる。
なんで付いてきたんだよ、こいつら。
いきなりの帰還だったけどさ。
………やっぱり、まだボクの役目は終わっていないようだった。
第一章完
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