平和のための和平をしに『ウェルタウン』へ
『…マサチカ王子を説得した?カリン、君が言うから信じたいけど、俄には信じがたいことだね。』
「まぁ、話聞かなきゃ、聞かせればいいってことだったんだよ。
屋根吹っ飛ばしたら、景観も良くなったし。」
マリウスくんがポカーンてしてるよ。
『…カリン、君はすごいね。確かに、マクシミリアン王子とフェルナンド王子は平和を望んでいた。
マサチカ王子だけは破壊を望んでいたから。
それが無くなったなら、ホントに"戦争"は要らないかもしれないね。』
「そーだよ!血を流さなくたって何とかなるときはなるんだからさ!
今は争ってる場合じゃないんだし!」
『争ってる場合じゃない…?』
怪訝な顔されちゃった。
「フェリーシアさんが言ってたよ!
負のオーラが蔓延して、魔王が復活しそうだって!」
『…魔王が?"戦争"自体、魔王の復活の材料にされていたってこと?
だったら、早急に五大国家は戦争をやめて協力しなければ、また……。』
そう、だね。この国みたいに国民がいなくなっちゃう。
早く終結させれば、少しは魔王復活が伸びる可能性だってある。
もしかしたら、止められるかも。
『…カリン、君はどこまで行ったの?』
「行った国かな?だったから、"ウェルグランド"、"ウェルゴールド"、"ウェルガーデン"だよ。」
『…なら、あとは"ウェルタウン"だね。
他の小さな国は魔王が復活したら、何も出来ないから。
協力すべきは、この国を含めた五大国家。
カリン、君はこの世界には関係ないかもしれない。
でも、"運命"ってあるんだと思うよ。』
…あー、あれっすかね。
ボクの"勇者"説。あれ、実現しちゃう?
困ったな……。
普通のRPGなら、何かしら武器か魔法使えてるはずなんだけど。
何も出来ないわ!マジ、ボク使えなさすぎるわ!
"いるだけで力が沸いてくるよ"とか言われてトキメクようなキャラでもないし。
まぁ、武器になるのはこの達者な口しかないんですが、魔王が会話する気なかったら御陀仏よ?
皆が戦ってるとこ、ぶっちゃけ見てないし。
これなら好き嫌いしてないで、"戦略系RPG"とかやりこんどくんだったわ。
"司令官"とかカッコいいし。
性格分析とか得意だから、テストとか楽勝なんだけどね。
先生の口調とか性格、範囲や方針からどれが出るかとかわかるし。
それが通用するなら勝ち目はあるよ。
しかし、問題がある。
\魔王のスペックがわからない/
これ大事よ?滅茶苦茶大事よ?
無敵レベルで強かったら、意味ないし。
『…リン?カリン?』
は!自分の思考の世界に入ってたわ!
「あ、なに?」
『ううん。何か考え込んでたみたいだったから。』
「ああ。多分、ボクやゆーまんも関わるんだろうなって思ったら、対策練らないとって。」
『…ユーマン?』
…毎度思うんですが、ゆーまんの名前出すと皆トーン下がるのは何故かしら。
「一緒に来た幼馴染みだよ。」
『…へぇ?………………………(ブツブツ』
え?なに?ヤンデレ再発?!
『…あ、ごめん。"何でもない"よ。』
うわぁ、すごい綺麗な笑顔ー。
…絶対、"何でもない"何てことねーわ。
何か企んでるわ…。
「そ、それよりも!"ウェルタウン"行かないとなんだよね?
どーいくの?どこの井戸入るの?」
今は目先の目的を片付けよう。
企みはあとで阻止するとして。
『…そうだね、城の外に出よう。案内するよ。』
…綺麗なヤンデレほど、怖いものはない。
……………外は更にシュールな光景が広がっていた。
お城の中よりも更に荒廃した街並みが広がっている。
建物と言う建物は、全て半壊か全壊。
見るも無惨な状況だ。
建て直しにも、人員がいる。
その国民がいないのでは、どうにも出来ないんだろうな。
魔法があっても、一人じゃやる気にもならないだろう。
『…カリン、こっちだよ。』
道だった場所を移動する。
マリウスくんの瞳にはなにが映っているんだろうね?
全盛期の幻影…かな?
所々に、白骨化した骨も散らばっている。
気味が悪いけど、叫んだら失礼だ。
"人形"にもなれないまま死んでしまった人たちなんだろうな。
『…これだよ、カリン。』
暫く歩いて、城壁だった場所を通り過ぎた場所にそれはあった。
「飛び込んだらあっという間かな…?」
覗き込みながらぼやいた瞬間、ドンッと押された。
「マ、マリウスくん?!」
『…また会おうね、カリン。…………大好き。』
落ちながら、遠ざかる優しい笑顔のマリウスくんの顔が見えた。
……何なんだ、このハーレム世界。
そーゆーのが好きな人には、最高なんだろうけど、ボクには井戸が!
……仕方ないなぁ。皆に最後まで付き合ってあげようじゃないか。
嫁にはならない!
ボクは一人しかいないんだから仕方ない。
「……だ!」
……まただよ。しかも、今回は砂利じゃねぇか!ガチでいてーよ!
……あれぇ?目の前に拡がる光景はぁ、"中華街"かしら?
しかも夕方みたいで、ちょっと怪しい、妖艶な感じ。
落ちたまんまもなんだし、取り敢えず歩いてあそこまで行こう。
顔面スライディングの痛みと落ちた痛みのダブルパンチのまま、よろよろと立ち上がった。
…さてさて、次こそはお姫様がいーなー。
たまには女の子に会いたい。
マクシミリアンくんとこの国民の女性たちか、マサチカんとこの囚われてた女の子たち、フェルナンドくんとこのメイドさんとフェリーシアさんくらいなもんだし。
メインな女の子がいないじゃないか。
……フェリーシアさんはお姫様だろーけど。
しっかし、本当に"中華街"みたいで………全開なのな。
攻め込まれたらヤバくない?
門から首を突っ込んでみる。
門の外にも中にも、門番らしき人はいない。
不用心だなぁ。……………は!チャイナドレスのお姉さんがいっぱいいる!
いいなぁ、スタイルいいなぁ。
ラインがきれいだよねー。スリットはセクシーだし。
おっさん臭い?仕方ないじゃないか。
目の保養に男女の境目なんぞない!
…ん?何々?!一際綺麗なお姉さんがいるじゃまいか!
シニョンから垂らした髪もセクシーな最高のチャイナ美女!
「…貴女、どこのこ?見慣れない格好ね。」
は、話し掛けられた!
ハスキーヴォイス、スバラシス!
…でも、ちょっと何か………、なんだろ。
「あ、えっと!ボクは華凛です!」
どこのこ?とか言われてもな。
「へぇ…。カリン、可愛いお名前ね。あたしはシェンメイ。宜しくね。」
微笑んだ顔は、やっぱりすごい美人さんだ。
…シェンメイって神美か。
"中華街"じゃなく、"中国"なのかなぁ?
いやいや、"中華街"にもチャイナな中国人女性はいるわけで。
「…にしても、埃だらけね。……"井戸異世界"から来た?」
……トーンちょっと下がったな。観念するしかない。
「確かにそーだよ。井戸異世界とはちょっと違う異世界からきたんだ。
この国の王子様かお姫様に会いにね。」
「…ふぅん。何で会いたいの?」
「訳あって!和平交渉に来た!」
何か何かのアニメがデジャブるけど気にしない。
「…へ?何であんたがそんなことしてるのよ。」
そーすね、いきなりこれは通じる人にしか通じないか。
仕方ない、一から説明のターン!
「ボクは何を隠そう、この世界に当たり前にあるものだけど、ボクの世界にはあまりない井戸をこよなく愛している!」
さぁ!久々の演説だ!とくと聞くがいい!
「そんなボクが運命の井戸と飛び込んだ先がこの"井戸異世界"だったわけだ。
ボクが最初に訪れたのは、マクシミリアンくんの"ウェルグランド"だった!
彼の国のカラフルな井戸に感動しつつ、世界情勢を聞いたわけだ。」
ふんふんと聞いてくれるシェンメイさん、優しいですな。
「この世界では、"敵井戸"と言われた国々との絶え間無い戦争が行われていると聞いた。
しかし、ボクがいた世界とは違った戦闘方式だったわけで、見させてもらうために同行したんだ。」
「へぇ、あんたも物好きねぇ。あんたの世界の戦争はあとで聞かせてちょうだい。」
バカにするでもなく、聞いてくれてるのは有難い。
「うん、興味は尽きないからね。わかった!話終わったら、話すね!
で、続きなんだけど。カイヅカのおっさん率いるチームがいきなり、闘いを挑んできたの。
珍しいからって勝手にボクを戦利品に仕立てて。
カイヅカのおっさんのいる"ウェルゴールド"では、"禁忌の償還魔法"が研究されていて、それの実践のために来たらしいんだ。」
ピクリとシェンメイさんの綺麗な眉が動く。
まぁ、"禁忌"だもんね。そーなるわ。
「連れてきた呪術師が呪文唱えてるってあのときは気がつかなかったから、時間稼ぎにカイヅカのおっさんが近接戦を挑んできてもわからなかったんだよ。
…もう一人が、"犠牲"のために連れてこられたことも。
違和感はあったんだけどさ。んで、呪文が終わった途端、その人が苦しみだして…倒れた体から、黒い靄が溢れだしたんだ…。
それは、……でっかくて赤い鬼みたいな化け物だった。」
…思い出して身震いする。ダメだ!今は思い出しても泣いちゃ…。
ふわりと温かい感触がした。
「…大丈夫よ。あたしが聞きたいの。
あんたには辛いかもしれないけど、必要なことなんでしょ?」
シェンメイさんに抱き締められていた。
…有難いんだけど、なんだろ。
ちょっと…………硬い?腕とかお腹回りが。
いやいや、今は話すことに集中しよう。
「ありがとう、シェンメイさん。
続けるね。…その鬼は、マクシミリアンくん目掛けて、腕を降り下ろしたんだ。
でも、バイザーのにーさんが庇って大怪我しちゃったんだ…。」
「…そこで、ボクの意識は途切れた。
気絶する瞬間まで、一緒に来た幼馴染みのゆーまんが抱き締めて守ってくれてたのは覚えてる…。
だから、バイザーのにーさんやマクシミリアンくん、ゆーまんがその後どーなったかは心配なんだけど…。
……目が覚めたら、真っ金々の気持ち悪くなりそうな和室にいたんだ。」
真剣に聞いてくれながら、最後に頭を抱えた。
…有名なのかな?あのセンスのなさ。
「合ったことを反復してたら、カイヅカのおっさんが来て、本当に誘拐されたことがわかったんだよ。
そのまま、マサチカんとこに連れてかれたんだけどさ。
変態過ぎて、大騒ぎしてやったよ。
自意識過剰過ぎるよね、アイツ。」
あれ、爆笑してる?
「…あははははは!あのバカと口論したの?
あんた、変わってるわね!いえ、悪い意味じゃなくてね。
井戸好きからして変わってるけど、ぶっ飛んでるわね。
あ、ごめんなさい。続けて。」
皆、アイツをバカとかウツケとか、ガチだなこれは。
「うん、本当にバカでさ。監禁も軟禁もされなかったから、自由にあの小さい国を散策させてもらったんだ。
そしたら、幼い女の子を無理矢理囲ってる変態だったわけだ。
その一人に想いを寄せてる少年を巻き込んで、救出と脱出計画を企てたのさ。」
あ、ポカーンてしてる。
確かに無茶苦茶だったろうけどさ。
「誰も警戒しないから、簡単に彼女たちの場所を特定できた。
少年と少年の友だちにさせる救出計画。
そして、ボクは真っ向からマサチカに対峙して、頭空っぽにさせての脱出計画。
少年に事前に錬金魔法を掛けさせた、使われてない砲台を2つ運び出したんだ。
皆、協力的だったよ。」
あら、ワクワク顔ですな。
「マサチカ帰還と共に、作戦決行!
少年たちの救出がバレないように、でかい声で牽制したんだ。
家族の話とか色々して。でも、逃げたの分かってから、ワガママ連発でさ。
国民をコマにしか考えてないから、ブチキレて、砲台一発咬まして……趣味悪いあの屋根を吹っ飛ばしてやったのさ!」
パチパチされたよー。
「で?で?あのバカどうなったの?」
嬉しそうだね…。
「砲台にビクビクしてたよ。
でも、何か"禁忌の償還魔法"何かどーでもよくなったらしくてさ。
…矛先がこっちに来たから、颯爽とボクは2つ目の砲台にINして、空高く舞い上がったの!」
ま、ビックリするよねぇ。
「そして、着地地点が"井戸"。
落っこちて飛び出した先が、"ウェルガーデン"だったのよね。」
「…あんたには、助けを待つ選択肢ってないのねー。
しかも、ピンポイントで主要井戸異世界行っちゃうなんて!それからそれから?」
興味津々ですなー。
「偶然居合わせたフェルナンドくんに連れられて、フェルナンドくんちにいったんだけどね。
…何時間も歩かされて疲れちゃったよ。
中庭でのティータイムは至福だったけど。
メイドさんが興味津々だったから、ボクの演説会しちゃったし。」
「…あんた、変な知識いっぱいありそうだもんね。
興味だけで語れないわよ、普通。」
デスヨネー。
「まぁ、内容は関係ないから割愛するよ。
でもさ、あの国も偏ってるよね。
位で意見の幅決められるって苦痛だと思う。
間違ってても、間違ってるっていっちゃいけないなんて。
ボクなら絶対抗議してる。」
「…してきた後なんじゃないの?あの頭硬い国王に。」
「な、何でそれを?!」
「あんたの口振りでわかるわよ。黙ってはいはい言ってるような、バカなお利口さんには思えないもの。
で、指摘したら、返答にならない返答しながら怒ったってとこかしら?」
……最初から不思議に思ってたんだけどさ?
シェンメイさん、やけに詳しいよね。
普通の国民にまで周知の事実だとしても、口調が国民のそれじゃない。
………聞き方も違うし、もしかしてもしかする?
いや、取り敢えず、経緯を話しきってからダウトしようぜ。
「…物凄く、そのとーりだよ。
でも、言い負かす前に阻まれちゃってね。
彼の奥さんのフェリーシアさんに。
あっさり、尻に敷かれ具合満載でうやむやに終わっちゃったんだ。
フェリーシアさんに何かきにいられちゃってさぁ。
何でも、"トイ・ウェル"出身だとか。
はっきりは言ってなかったけど、お姫様なんだろうね。」
「…あー、あの人出てきたんだ。そりゃ、どうにもならないわねぇ。」
溜め息?!かなり知ってるクチだね…。
「ボクの性格なら、弟のマリウスくんを説得出来るかもって、半ば強引に連れ出されて…、"トイ・ウェル"に置き去りにされたんだよね。」
声にならなくなったらしく、頭抱えてる。
有名なのかな?強引さとか。
「………なまじか頭のいい人間の考えって、突飛もないから苦手なのよねぇ。」
「………バカと天才は紙一重なのだよー?」
「確かにそうだけど、マサチカは真性のバカじゃないの。」
「うん、それは禿同…同意するよ。
自慢じゃないけど、ボクは基本的に試験は全て満点だ。」
あ、固まった……。
「…納得出来るような、したくないような。」
気持ちはわからなくないが、ちょっと傷ついちゃうぞー?
「脱線したね。あとちょっとだから、聞いてね。」
「あ、うん。聞く聞く。」
なんだろう、このガールズトーク的なノリ。
ガールズって言うと、違和感を禁じ得ない。
…切ないけど。
「移動中にことの発端は聞いたよ。
100年くらい前に魔王と戦ったって。
魔王の障気に当てられた可能性がある見解に至ったんだ。
そして、置き去りにされてから、まるでお化け屋敷みたいな、お城を散策したの。
そしたら、マリウスくんが普通に背後からやってきたんだ。」
「それだけで女の子なら、きゃーってならない?」
「ぬぉああああ!にはなるね。」
…え?ボクを見て、悩んで、溜め息つい…って、まてぇぇい!
何、そのパントマイム的な!
物使ったら、モノボケ的な!
あー!ボクは女の子らしさなんて持ち合わせちゃいないさ!
むくれてたら、頭をポンポン叩かれた。
「ごめんごめん。怒らないで?
女の子女の子してるより、十分あんたは可愛いんだから。」
いや、可愛いとかはいらないっす…。
「…違う感じかしら?」
「…あんまり可愛いとか誉め言葉に聞こえないだけ。ごめんね?」
真面目な顔させちゃったな。
「続きだよ!マリウスくんに色々話が聞けたんだけど、……魔王戦で一番被害がでかかったって。
マリウスくんとフェリーシアさんしか、生き残れなかったのかもね…。
だから、兵士さんや国民を"人形"にして操ることによって、戦争を凌いでた。
…100年近く独りだったから淋しすぎて、逃げ延びてしまったフェリーシアさんの代わりに、"人形"にされそうになったんだ。
でもパニックになったら、偶然にも背中にしていた井戸にハマって、マリウスくんは正気に戻ってくれたよ。」
なんだろ、口挟んでくれなくなったな。
「それから何とか話題振ったら、話に応じてくれて、一緒に考えてくれた。
話し合いの結果、五大国家の最後に当たる、この"ウェルタウン"に来たんだよ。
他の皆は二言返事で協力を仰げるくらいには仲良くなったからさ。」
終わったのに、シェンメイさんは口を開かない。
「…シェンメイさん。ボクの世界の戦争の話、聞いちゃう?それとも…。」
「……頭のいいあんたは気がついてるんでしょ?
あーあ、まるで誘導されてるみたいだったわよ。」
真っ直ぐボクを見つめた。
「あ、うん。やっぱりか。最初はわかんなかったんだけどさ。
途中から、いやに理解早いなーって思って。
カマ掛けたつもりはないけど、わかってるなら細かくしなくていいかなって思ったの。
………シェンメイさん、君は…………、この国の……………"王子"だね?」
一際大きな溜め息をつく。
「あーもう!何でわかっちゃうのぉ?
こんなセクシーな女なのに!」
「ボクの世界にもいるからねぇ。
女の子より可愛い"男の娘"が。
声質と完璧過ぎるところと、ちょっと筋肉質なところから、算出シマシタ!」
「あは…。分析能力様々ね。あんた。バカそうに見えて、本当に頭いいじゃない。」
考えるのは好きだけど、口にしなきゃ意味がないからなだけなんだけど。
「…軽蔑とかしないのね。ホント、変わってるわね。」
「軽蔑?確かに偏見を持つ人はいるかもだけど。
ボクはそういうことが当たり前の趣味側の人間だからね。
似合えばいいんだよ、そういうのは。
…正直、一人くらいお姫様がいてほしかったけど、アリじゃないかなぁ?」
ぬ?黙っちゃった?
「………あんた、敢えて言わなかったり、オブラートにしてたけどさ。
全員に口説かれなかった?」
…ボクから脂汗が滴った、気分。ボクが固まった。
「図星ね……。わかる気がするわ。知ってる?
芯の強い女っていないから、気になっちゃうの。
だから……、今しがた会ったばかりなのに、あたしも気に入っちゃったわよ。」
……………へ?何かデジャブ?えー?
「…ねぇ、あたしと一緒にならない?」
「だが断る!」
「…くす。まぁ、そうなるわよね。でも、諦めてあげないから。
で?あたしを探してたんでしょ?
あたしも無駄な争いは好きじゃないの。
でも、…………ただ協力するのはおもしろくないし。
この国の問題、解決してよ。」
ぬぅ?問題?
「…暴れてる"キョンシー"を殲滅してちょうだいよ。」
「…へ?」
殲滅も何も、活気のある街中に"キョンシー"なんて見当たらない。
それに、ボクは戦闘向きじゃない。
「いやー、ぱっと見見当たらないし、ボクは口達者なだけだからな。
兵隊さん貸してくれるなら、作戦かんがえるよ?」
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