第9話現実との狭間で
ホテルを出た瞬間、ぼくは授賞式を断念した。ここに来るべき人はこのぼくでない、と判明したからだ。そうなのだ。ぼくはここにいるのだ。白紙の原稿を前に。
スピーチをあれこれ考えるのはもうやめだ。兎に角、今をなんとかしなくてはならない。
2ヶ月間のぼくの毎日はこんな妄想に苛まれていた。食べたり風呂に入ったりする以外の自分の時間をすべてこの妄想につぎ込んだ。全くバカなことをしていた。現在進行形に立ち返るべきだ。INGがぼくのすべてなのだ。ちょっと前にぼくは彼女に電話をかけた。その一部始終はこうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます