3月3日:ちやほやしてほしい男子
やぁ。
今日もあったね。あるいは初めてかな。
これは4週間後に死ぬ人間が書く日記だよ。
どうぞ、気楽に見てってよ。
日記なのに、今日起きたことが全然書かれていないのは……
気のせいだ。
僕が見る景色は、毎日、毎時間、毎分、毎秒変わらない。
真っ暗な闇の世界であれば、まだ良かったかもしれない。
さて、これを見ているのは刑事じゃないことを祈ろう。
今日はひとつ悪いことをしたんだ。
何って、窃盗だよ。そりゃ。
購買でね、パンを買ったんだ。
近々死ぬ人間でも糊口をしのぐために食べ物をお金を出して買うなんて滑稽だとおもわれるかもしれないが、お腹が空いたんだから仕方がない。
でね、パンを買ったわけだが、おつりが50円多かったんだ。
僕はおつりを受け取った2秒くらいあとに気が付いたのだが返さなかった。
悪いことしたなーと思いながら、僕はいつもこの購買を利用しているので、
ご褒美だと勝手に解釈してネコババしたんだ。
ほら、スタンプで50個貯まると1個もらえるような制度もあるだろ?
それと同じと言うことで容赦してほしいという気持ちで、窃盗しました。
あぁ、日記っぽいなぁ。
これこそ、遺書日記だ。
パンを買った後は何をしたかって?
そりゃ……パンを食べたに決まってるじゃん。
その後僕はトイレで用を足して、閉ざされた空間に戻る。
ここではないどこかへ行きたいと願う人間が果たして。
どれだけ多くいるかを僕は知っている。
ほとんど全部だ。みんな逃げ出したい。
みんな、何かしらで選択肢を間違えて生きてしまっている。
恋人や家族になると、一緒に、みんなでという発想にパワーアップするが、
その欲はほとんどの場合無益に終わる。
僕もその一人として、死ぬことになるのだが。
平和な君たちは、そんなことをしなくてもいい。
人はいつか死ねるんだ。
適当に生きていれば、必ず死に至るんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます