第6話
「ここが食堂だ」
そんな彼らを案内する、彼らはまだ汚れておらず、また素直だ。そんな彼らを避けてかいつもは誰かしらいる食堂にも、コックなどしかおらず静かなものだ。
「おっこの世界にも米があるよ」
「米がないと日本人としてはやってられないよな」
食堂を見る彼らの中でも一際うるさいのが01278だ、時おりこちらを興味深そうに見たりするのだが、その時に感じたこともないおかしな感覚にとらわれる。
「食堂は常に開いている決められた時間以外は出てくるのは遅いけど」
そんな話をしながら01278をみる、彼らは新入りにも同じように興味深そうに見て、そのうちの何人かに話しかけている。いったいなんなんだろうか。だから相棒に耳打ちをする。
「01278、警戒」
「了解」
「では次のところに案内します」
◆◆◆◆◆◆
次に案内したのは寝室だ、やはりここにも誰も、いやいた。
「あっあなた」
そこにいた1人の女性が俺をみると駆け寄ってくる。
「あなたどこ行ってたのよ」
「仕事中」
「そうだったの、そうだ食事作るからまっててね」
それだけを言うと彼女は去っていく、それを無視して話を続ける。
「ここが寝室だ、2人に1部屋与えられる」
「えっまさか」
「私はいいけど」
えーやらいやだーとか言う声が聞こえる、まあ部屋は掃除してあるはずだから問題ないだろう。そんな彼らの中でやはり01278は去っていった彼女、ここのトップエースかつおかしくなってしまった09195が去っていった方を興味深く見ていた。
「以上で案内を終了する、別命あるまで各員に割り振られた部屋にて待機、解散」
伝えるのはこれくらいだ、他はおいおいと知っていくだろう。生きていればであるが。そうして部屋に戻ろうとするが。
「あの」
例の01278に止められる。
「なんだ」
「さっきの女性なんだけど」
「09195、航空機兵だ」
少し不機嫌そうにそう答えるが、01278の男の方は気づいていないのかためらいなく話しかけてくる。
「それ以外に」
「01278、自分で聞け」
そう突き放す、正直めんどくさい。
「なあ、その数字で呼ぶのやめてくれないか俺には
頭が痛くなる、ここまで黙っていた相棒を見る。
「01278待機命令です、私たちは疲れているの質問などは受け付けません」
「けど」
「質問は受け付けません、では」
それだけを言うと、なにか言いたそうな01278を残しその場を後にした。
「大丈夫ですか」
「いや、問題ない」
俺のおかしくなっているところ、それは俺は人の名前がわからないのだ。人の名前を聞くと雑音が襲う。だがこれでもましな方だ、生き残りは基本どこかおかしい。ありきたりな物だと殺すことに快楽を覚えたり、相棒のようにどこか感情がイカれる。相棒は曰く、悲しみとか恐怖、更には感情ではないが五感の触覚が薄れている。更に悪化すると通信機越しでしか人を認識できなかったり、09195の場合だと彼女は俺以外を認識しておらず、その俺の認識も彼女の相棒であった恋人と言う認識だ。つまり彼女にはアークウィングには2人しかいないのだ。そして俺たちはお互いにその事を理解して死ぬまでの時間を過ごしている。それが航空機兵の現実だった。
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