第4話
敵の影が見える、かなり遠いため黒い点ではあるが空が真っ黒だ。
<こちら12334、全機散開して各員空戦に望め>
自由に戦えと言われる、と言うよりそれ以外命令を下されたことはない。アークウィング隊は基本的に防衛任務が多く、優秀になると進攻部隊に担う空母に移動される。それらの空母は航空機隊の憧れだ。
「まず上をとろう」
「了解」
機体の高度をあげていく、周りの機体も同じように機体の高度をあげていく。空は広いようで狭い、航空機の限界高度のためだ。だからその限界高度目一杯に上げておけば、その戦場をもっとも広く使える。
<02574敵は見えるか>
相棒が後ろで双眼鏡を手にする。
「敵はサイズからすると小蝿」
<了解、敵は小蝿楽な任務だ接敵まであと60カウント>
敵の蝿型には2タイプある、小蝿と大蝿だ。小蝿は戦争当初からおり高機動、低火力、低装甲のカモだが数だけは多いので量産性が高いのだろう。それの進化型で大蝿は、機動は少し落ちるが、火力装甲どちらも増大しているが生産性が落ちているようで数は小蝿より少ない。見分け方はサイズだ。
「大蝿は」
「見る限りはいない」
「なら楽だな」
楽とは言うが味方は30機ほどなので、いつも通りなのだが楽だと言い聞かせて落ち着かせる。
<接敵降下>
機体を捻り、逆さまになる。僅かな浮遊感。操縦幹を引き下げ、機体を上から降下させる。敵の真上からダイブだ。
蝿型は真上に攻撃できないので優位を取れる。そのまま機銃を撃ちながら敵の中に飛び込む。もはやここからは運だ。
<うわぁぁぁぁ……………>
<撃破、次>
<敵から抜けたものからは>
敵が射線の中に飛び込んでくる、返り血でコックピットが汚れるが、風で流される。時おり敵の破片が機体にぶつかり音がするが、これだけではこいつは落ちない。
「抜けたっ」
「速度を稼いで反転する」
無事に敵を抜けるなか、抜けられなかった機体が、落とした蝿が、そしてそれらの破片が落ちる。
<反転>
<数は減った>
「こっちは」
<知るかよ、自力で数えろ>
無線では撃破したやら悲鳴やら怒声が響く。海面ギリギリで機首を上へと向ける。その頃には小蝿も体制を整える。かなり数が減っている。こちらも降下時で稼いだ速度で高度を稼ぎ、それを迎え受けた。
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