第3話

 ビービービーとアラーム音が艦内に鳴り響く。

<蝿型120が接近中航空機隊は逐次発艦せよ、繰り返す蝿型>

 ベッドから身を下ろす、寝るときでさえパイロットスーツを来ているので身一つで格納庫へと急ぐのだが、相棒は遅い。

「早くしろよ」

「………悪かったね、低血圧なの」

 そんな相棒を急かしつつ格納庫に向かうと、航空機に飛び乗った航空機兵たちがエレベーターでカタパルトへと向かう。

「02574遅いぞ」

「「申し訳ありません」」

「さっさと出ろ」

 叱咤された上で、自分達の航空機へと向かう。航空機では整備兵たちが最後の最後まで整備しており乗り込む直前。

「完璧です、出撃可能です」

「了解」

 そうしてコックピットに掛けられたはしごを登り前席に収まる。

「主動機作動」

「計器稼働中、プロペラ稼働」

 相棒が振り向き確認する。

「右エルロン、フラップ」

 操縦幹を傾ける。

「稼働確認」

「左エルロン、フラップ」

 今度は反対だ

「確認、通信確認」

<こちらアークウィング>

「確認」

 後は補助翼の方も確認するのだがこれは自分の目で確認する。

<02574エレベーターへ>

 機体をフットペダルとエンジン出力のみでエレベーターに載せる。ガコンと言う音と共に僅かな浮遊感。そうして上に、戦場へと上がっていく。

「魔道力安定」

「了解」

 上がりきるとそこは滑走路だ。直援、空母の回りを飛び何があっても空母を守る最後の砦だ、それが5機ほど辺りを飛ぶ中、滑走路先端から機体が打ち出されるようにカタパルトで飛んでいく。

<02574は自力で発艦せよ>

 そう言われ機体を所定位置に移動させる。

「出力上昇」

「了解」

 プロペラの回転数が増えるほどに機体の速度が上がっていく。そうして速度がある程度上がると、操縦幹を引く。機体が上がる。それでもなお出力をあげつつ、機体を振り最終確認。

「正常に稼働中」

「了解これより目標空域へと向かう」

<グッドラック>

 これが何十、いや何百回と繰り返してきた、いや来られた戦場へと向かう手段だった。

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