美しき女策士3-6

 追露慶──否、ブンドール帝国の大幹部・オイロケー参謀は、配下のネオ機界獣二体が宇宙刑事の手によって倒されるさまを、ずっと遠目に観察していた。

 意識して気配を消し、狙って周囲の風景と同化している彼女を尼僧院の位置から見出すことは、少なくとも普通の人間にとって不可能に近い。

 そんな彼女の肩上に一羽の鴉が舞い降りたのは、遠間で展開していた騒動がひと段落した、まさにその矢先でのことであった。

 それは、普通の「鴉」ではなかった。

 少なくともこの地球上では、流暢な人語を用いて意思の疎通を図ろうとする鳥類など、ただの一種も確認されていない。

「実験体の総合力は、第三段階機界獣の平均と比して、およそ三割程度と見受けられます」

 その怪しげな鳥は、深い智粋を感じさせる声でオイロケーに告げた。

「やはり諸々の調整に手間をかけなかった分、能力自体の卑小化は避けられませんでしたか……残念ながら、今回のテストは失敗ということになりますかな?、参謀閣下」

「とんでもない。成功だ。むしろ大成功に近い」

 鴉の意見にオイロケーは反論した。

「考えてもみよ、博士ドクトル。あの不良品にすら近い粗末な検体を用いたにもかかわらず、我々がこしらえたあれらは、SS級宇宙刑事相手に一矢を報いてさえみせたのだぞ。これを成功と言わず、いったいなんと言えば良いというのだ?」

「これはこれは──」

 ドクトルと呼ばれた鴉が楽しげに応じる。

「それがしが浅慮でありました。まこと閣下の仰るとおりでございます」

「わかればよい」

 そう返したオイロケーの口振りもまた、どこか芝居がかっているようであった。

 言葉尻をわずかに弾ませ、彼女は続ける。

「だがそれゆえに、もうひとつだけ試したいことがある」

「ほう、それはいかなる事柄でありましょうや?」

「何、簡単なことだ」

 彼女は言った。

「ドクトル。リザレクトプログラムを起動させてもらいたい。あれら二体がそれを起動させ得る器であったのかどうかを、直にこの目で確かめてみたいのだ」

「かしこまりました」


 ◆◆◆


 凄まじい地響きが雷牙たちの足元を揺るがしたのは、彼が二体のネオ機界獣を撃破して少し経ってからのことであった。

 宇宙刑事ばかりでなくシーラと春香の両名も、これが単なる地震などではないことを直感的に感じ取っていた。

 いまの状況は、あの日あの時発生した大地の揺れと、あまりに類似しすぎている。

「まさか、リザレクトプログラム?」

 十数秒後、尼僧院裏手に広がる丘陵地帯の一角が、突如音を立てて崩落した。

 唐突に出現した巨大な裂け目の向こうから、身の丈五十メートルはある「何か」が、ぬっとその身を乗り出してくる。

 それはまさしく、ひとの目には悪夢の象徴としてしか映らないような異形の「巨獣」そのものだった。

 放たれる威圧感は、先ほど現れた二体の魔獣の比ではない。

 外見のディテールは、あれらふたつを無分別に混ぜ合わせたものに近い。

 だが、圧倒的なスケールの差が、その類似点をまったく意味のないものとしていた。

 地の陰から全身を現した「怪獣」が、天も割れよとばかりに咆吼した。

 びりびりと周囲の空気が振動する。

 その存在を初めて目にした尼僧たちは衝撃の余り立ちすくみ、子供たちもまた、泣くことすら忘れて小さい身体を石のように硬直させた。

 ザクーヤ=ギガンティック──ブンドール帝国の最先端技術、リザレクトプログラムによって拡大再生された機界獣ザクーヤが、勝ち誇るがごとく宇宙刑事を凝視した。

 頭上から降り注いでくる剥き出しの悪意を、しかし雷牙は逃げることなく受け止めた。

 むしろ、それを押し返さんとばかりに、両のまなこへ力を込める。

「雷牙ッ!」

 その背中を後押しするように発せられたシーラの声を皮切りに、若き宇宙刑事は裂帛の気合いを込めて絶叫した。

「ドラゴニックブラスターァァァァァァッッ!」


 ◆◆◆


 最初の変化が生じたのは、この地よりはるか離れた海の底でのことだった。

 いわゆる「七つの海」と呼ばれる大洋の深み。

 その深淵で、長きにわたって沈黙していた鋼鉄の意志が、それぞれ同時に目覚めの刻を迎えたのだ!

 それは、神話で語られし名を持つ合計七体の「巨人」たちであった。

 大西洋からは「ファフニール」が、

 地中海からは「レビヤタン」が、

 カリブ海からは「ケツアルクアトル」が、

 メキシコ湾からは「ウンセギラ」が、

 太平洋からは「オウリュウ」が、

 インド洋からは「ヴリトラ」が、

 北氷洋からは「ミドガルズオルム」が、

 波打つ海面を突き破り、秒速三十万キロの光の帯となって上空高く駆け登って行く!

 秒を経ずして、それらの「巨人」は、おのが主轟雷牙の膝下に集結。

 次々と合体変形を繰り返し、我が身をもってひとりの「巨神」を形作った!

 逞しい腕。

 太い脚。

 重厚な胸板と引き締まった腹部。

 その形容は、戦う「おとこ」、「戦士」のそれを模したものだと断言できる!

 雄々しい表情を湛える「巨神」の頭部。

 その額には、エメラルドカラーのクリスタルが燦然とした輝きを放っていた。

 それを認めた宇宙刑事が、掛け声一閃、大地を蹴る!

 軌跡を残して飛び込む先は、煌めく宝珠の中心だ!

 クリスタルから伸びる導きの帯が、彼の身体を胎内に誘う!

 融合が完了!

 透明感ある緑の光がルビーの赤へと一変した!

 上部に伸びた一本角が扇のごとく左右に展開!

 フェイスガードが勢いよくクローズ!

 後頭部に燃え上がった紅蓮の炎が、深紅のたてがみとなって風にそよいだ!

 両の拳を腰の高さで不敵に震わせ、はがねの武神が天に向かって轟吼する!


『翔龍機神ッ! ゴゥッ! ラィッ! ガァァァァァァッッ!!!』


 ◆◆◆


「ロボットだ!」

「おっきい!」

 凍てついていた子供たちの表情に、はっきりと希望の光が差し込んだ。

 見上げる両目が、たちまちのうちにきらきらとした輝きを放ち出す。

 その汚れなき瞳の中央に映り込んでいたもの。

 それは、身長数十メートルに達する鋼の「巨神」の姿だった!

 誰の目にもそれだとわかる、逞しき「戦う神」の姿だった!

 鋼鉄の指先を魔獣に突き付け、存(・)在(・)は大音量で宣言する。

『悪しき「力」を用いる者は、正しき「力」に打ち倒される! さあ、かかってこい、機界獣ッ! おまえたちが手に入れたその忌まわしき「力」 それをいまから、このゴーライガーが否定してやるッッ!!』

 真っ向からの挑発を受け、巨獣ザクーヤ=ギガンティックは一気にゴーライガーへと掴みかかった。

 ごつごつした左右の手でその両肩を押し、力尽くで組み伏せようと試みる。

 見てくれの体格差では、ザクーヤ=ギガンティックのほうがひとまわりは上だ。

 目方の差を利用して押し潰そうとする戦術は、決して的外れなものではない。

 だがその目論見に反し、鋼の巨神は身動きひとつしなかった!

 魁偉な魔獣がどれほど力を込め直しても、その足元はびくともしない!

 武神の両手が魔獣の手首を握り締めたのは、次の刹那の出来事だった。

 骨が、肉が、筋が、それらすべてが一緒くたになって、メキメキという異音をたてつつ圧壊していく!

 ザクーヤ=ギガンティックの口から、甲高い悲鳴が迸った。

 強引に巨神の両手を振り払い、転がるように後退る。

 その目の中には、紛うことなき怯えがあった。

 それは、この魔獣がかつては人間であったことを示す揺るぎない証左であった。

 もしこの者がいまはっきりと口をきけたなら、あるいは命乞いをしてみせたかも知れぬ。

 しかしこの時、ゴーライガーは、そうした事実を認める素振りなど、いっさい見せようとしなかった。

『哀れな者たちよ!』

 ずい、と一歩を踏み出し巨神は言った。

『願わくば、おまえたちの汚れた魂が星空の彼方で清められんことを──』

 それは文字どおり、鎮魂の言葉に相違ないものだった。

 鳩尾の前で向かい合わせたゴーライガーの両の掌。

 その中間に、突如としてバチバチという破裂音をともなう電光が出現した。

 瞬く間に抱えきれない大きさへと成長したそれを高々と頭上に掲げ、鋼の武神は雄々しく叫ぶ!

『ジュラシックサンダーァァァァァァッッ!』

 全身を躍動させながら、巨神の両手がその電光を投擲した!

 目映いばかりの光の槍が、巨獣の腹を正面から貫く!

 ザクーヤ=ギガンティックの口腔から、けたたましい断末魔の叫びが噴出した!

 だが、ゴーライガーは追撃の手を緩めない!

『雷神剣ッッッ!!!』

 真上に向かって突き上げられた鋼鉄の拳から、光の球が天空高く放たれた。

 時を経ずして上空に濃密な黒雲が巻き起こる。

 黒雲はすぐさま重厚な雷雲へと変化。地上にいる巨神めがけて目も眩まんばかりの轟雷を降らせた。

 そのいかづちを受け止めたゴーライガーの手中に、一本の長剣が現れ出でた!

 剣というにはあまりに分厚く大雑把すぎる、見てのとおりのはがねの塊!

 そんな鉄塊を肩口に構え、巨獣めがけてゴーライガーは突進したッ!

『おおおおおおおおおおおおォォォォォォッ!』

 雄叫びを轟かせ、鉄の巨神がおのれの剣を振り下ろす!

『ファイナルッ! エクスプロージョンッッッ!!!』

 斬ッッッッッッ!!!

 すれ違いざまに落下した雷神剣の切っ先が、勢い余って地表を穿った!

 ザクーヤ=ギガンティックの体表に、輝くひと筋の線が走る!

 次の瞬間、超新星の光が煌めき、小山のような機界獣の巨体が跡形もなく消し飛んだ!

 面積を急速に増した光の筋が、内側から噴出するエネルギーの奔流をいざなったのだ!

 轟音とともに真っ赤な火柱がそそり立つ!

 熱風がッ!

 圧力がッ!

 閃光がッ!

 それらすべてがあたり一面を鳴動させ、同心円状の衝撃波を大地の上に出現させた!

 ザクーヤ=ギガンティックの最期だ!

 その凄まじいばかりの衝撃波を、鉄の巨神ゴーライガーは、おのが背中で受け止めた!

 紅いたてがみが激しくなびき、風切り音が容赦なく鳴り響く!

 だが、逆手に持った雷神剣を地に突き立てたまま仁王立ちするゴーライガーは、その勇姿を微動だにすらさせない!

 それはまさしく勝利を掴んだ武神の偉容ッ!

 この惑星ほしの守護神たるに相応しい、堂々たる風格そのものであったッッ!


 ◆◆◆


「いかに予想どおりだったとはいえ、これほどまでに歯が立たぬとなると、むしろ清々しささえ覚えますな」

 いささかの皮肉を込めて、ドクトルがおのれの感想を述べ上げた。

「起こるべきことが起こるべくして起きただけの話だ。あえて言葉で表すほどのものではない」

 薄ら笑いを浮かべつつオイロケーが応えた。

「だが、これでひとつはっきりしたことがある。この『聖なる星』の住民ども、その一割が必要な資質を持ち合わせていると換算すれば、我らの計画が軌道に乗ったのち、ブンドール帝国は億を超えるネオ機界獣をその膝下へと加えることになるだろう」

「戦争は、しょせん数ですからのう。そうなれば、銀河中央の年寄りどもも、おちおち枕を高くはしておれぬでしょうな」

「そうだ。そのとおりだ」

 腹心の発言に、美貌の女幹部は大きく頷き同意する。彼女は言った。

「いま、銀河連邦は勝ちすぎている。秩序の側が勝ちすぎているがゆえに、この宇宙は悪しき停滞に満ち満ちている。

 天秤はどちらか一方に傾きすぎてはならない。

 だからこそ、此度はエビルさまに勝っていただかなくてはならぬ。無論、勝ちすぎぬように。あくまでも、天秤の針を逆方向に傾けさせない程度に。

 闇がなければ誰も光の存在に気付かないのと同じく、光が弱々しければ、闇もまたその濃度を高めることなどできないのだからな」


 ◆◆◆


「あ~あ、こんなことなら自分のクルマで行ってればよかったなァ」

 商店街からの帰り道、雪姫シーラは不機嫌そうにそう言った。

「そしたらさ、こんな風に買い物終わって歩いて帰るなんてことしなくて済んだのに」

「シーラさんのクルマはふたり乗りですから仕方がないですよ」

 両手一杯に買い物袋を抱えた雷牙が、たしなめるがごとくそれに応じる。

「まさか、道中不慣れな此路さんに『バスを使ってひとりで教会まで来い』とは言えませんでしょう? そこは僕たちの側が妥協してあげないと」

「言うだけの立場のひとは楽よねェ。居候のくせに」

 にぱッと笑って少女は言った。

「でも、確かにあなたの言うとおりだわ。友達は大事にしなくちゃいけないもんね」

「ええ。まったくもってそのとおりです」

「あとさ、今回はたまたま教会で神父さん用の服借りられたからいいけど、あなた、変身するたびに素っ裸になるのってなんとかならないわけ? 毎度毎度あれじゃ、周りもいろいろたまんないじゃない」

「そうですね。設定弄ってなんとかしてみます」

「できるのッ!?」

「ええ、まあ。たぶん」

「できるんだったら、初めからそうしなさいってのッ!」

 ブンドール機界獣との激闘ののち、それにともなう諸々の後始末を終えたシーラたちが樹の尼僧院をあとにしたのは、間もなく夕暮れ時を迎えんとする午後四時をまわってからのことだった。

 帰りの足は、来る時と同じくバスや電車などの公共交通機関が用いられた。

 雷牙の言うとおり、二人乗車のシーラの愛車では、オーナー以外に追加でふたりの人間雷牙と春香を積み込むことが、実質不可能であったからだ。

 中途の駅で春香と別れたシーラと雷牙は、近隣の商店街で食材その他をたんまり買い込むと、そのまま徒歩で帰宅することを決めた。

 改めて電車やバスを乗り継ぐのが、ふたりそろってどうにも面倒になってしまったがゆえの選択だった。

 住宅地のなかを抜ける生活道路。

 そこは、シーラにとって若干の因縁を感じさせる場所だ。

 人を捨て、ネオ機界獣と化してこの世を去った黒島と健二のことを思い出し、彼女はどこかしんみりとした口調で雷牙に言った。

「ちょっとだけ、あのふたりが可哀想に思えてきたなァ」

「誰のことです?」

「あのヤクザ者ふたり組」

 シーラが応えた。

「死ぬほど腐った連中だったけどさ、もし人間やめてなかったら、あなたに息の根止められるようなこともなかったんだよね。そう考えると、なんとなく運の悪い奴らだったんだなって思ったわけ。甘いのかな?」

「甘いです……と言い切れたら、僕も楽なんですけどね」

 雷牙は小さくそう言うと、ふっと表情を曇らせた。

「より多くの人々を幸せにするため、積極的に少数の悪意を排除する。その一貫した態度こそが『正義』であり『秩序』です。僕は宇宙刑事警察機構のメンバーとして、それに従う義務があり、そうすることを組織に誓って生きてきました。

 あの者たち黒島と健二は、ネオ機界獣としての生を得た瞬間から人々の平穏に害を与える存在へと成り下がりました。排除しなくてはなりません。僕はそのことを間違っていることだとは思ってませんし、むしろ必要なことだったと確信すらしてます。ただ──」

「ただ?」

「ただ、そうやって実際に『何々をした』ではなく、『何々をする可能性がある』で罪を問うのが果たして正しいことなのかどうか……僕の中で、そう疑問に思う瞬間があるのも事実です。もしかしたら、僕がこれまでやってきたこと、そしてこれからやっていこうとしていることは、ことごとく誰かが自己満足に浸るためだけの『偽善』に過ぎないのかもしれませんね。いまさら言っても詮なきことですけど」

 シーラはこの時、わずかに空を見上げた雷牙の横顔と懐かしい記憶のひとコマとを、つい重ね合わせて見てしまった。

 温もり溢れる家族の団らん。

 その春の日差しにも似た穏やかな風景の中、彼女は、自分の父親がときおりいまの雷牙と同じような表情を見せていたことを思い出した。

 時を同じくして、樹と交わした会話の一部が耳の奥地で蘇る。


「それはそれで残念な話ね。あの方、どこか悠馬さんと同じ雰囲気をお持ちの男性だったから、あなたとはきっと似合いの夫婦になれるわねって、皆で密かに期待していたのに」

「パパとですか? いったいどこがですか? 顔も体格も言葉遣いも、雷牙とパパとじゃ、ちっとも共通点なんてないじゃないですか?」

「それは、見た目や性格がどうとかって意味じゃないのよ、雪姫さん」


 ああ、そうか。

 そうなのか。

 唐突にシーラは悟った。

 彼女は気付いたのだ。

 知らず知らず自分の中に生じていた、あまりにも微妙に過ぎる小さな変化を。

 我が家へ向かう足取りが軽い。

 それは、ほんのひと月ほど前には感じることのできなかった感触だった。

 「ふふふッ」と楽しげに相好を崩した少女が、なんの前触れもなく、その「快感の理由轟雷牙」に尋ねた。

「ねえ、雷牙。いまからウチまで競争しない?」

「はぁ……僕は別に構いませんが」

 やや頓狂な面持ちで青年は応えた。

「でも、どうしたんです?、突然」

「どーでもいいでしょ、理由なんて」

 前方に回り込んだ金髪娘が、後ろ歩きで彼と向き合う。

 彼女は言った。

「でさ、その勝負にわたしが勝ったら、これからずっと、我が家の夕食はあなたが作るの」

「じゃあ、僕が勝負に勝っちゃったらどうするんです?」

「そんなの決まってるじゃない!」

 ビッと人差し指を立て、少女はきっぱり断言する。

「ご褒美として、これからずっと、我が家の夕食はあなただけに作らせてあげるわ。どう? 光栄でしょ?」

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってください!」

 その都合よすぎる提案に、思わず雷牙は仰天した。

 目を見開きながら歩みを止める。

「それじゃあ、どっちも同じじゃないですか! 僕には何もメリットがないんですけど──」

「男が小さいことにこだわってるんじゃないのッ!」

 悪戯っぽくウインクした美少女が、にぱっと口元を綻ばせる。

「つべこべ言わず着いてきなさいな! よーい……ドンッッ!」

「あーッ! 待ってくださいッ! シーラさんッ! シーラさんってばーッ!」

 目の前で駆け出したシーラに向かって雷牙は叫んだ。

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