第489話
「少し黙っててくれないかしら?」
不快気な口調でベルティーナは憤る小男に言う。
「今は私と彼が話しているの。『光焔の女王』であるこの私と、お前の言う『星々の王』がよ。一介の星読みごときが口を挟まないでちょうだい」
「真の王はただ一人だ。星々が選んだご主人様だけが、真の王なのだ。そのことを弁えよ、炎の娘よ」
「うるさい男……」
ベルティーナは灰色の瞳を紫色に変えて虚空を見つめる。
すると次の瞬間、マルフスの目の前に大きな火柱が上がった。
「ひぃっ!!」
突如現れた炎に驚き尻をつくマルフス。
その無様な姿を冷然と見下しながらベルティーナは警告する。
「丸こげになりたくなかったら黙ってなさい」
そうして邪魔者を黙らすと彼女はレグスとの会話へと戻る。
「この男は面白い預言をしたわ。『赤き狐が奪った黄金を、星々の王は炎の娘と共に取り戻す』と。あなたは預言の内容までは聞いていなかったようだけど……、ねぇ素敵な預言だとは思わない?」
妖しく問いかける魔術師の娘にレグスは皮肉を以って返答する。
「お前が星の信仰者だったとは驚きだ。星読みの預言を頼りに危険を冒そうなど、およそ用心深い女のすることとは思えないな」
「この男の預言は危険を冒すだけの価値がある、そう判断しただけよ」
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