第471話

「星の導き、俺にそんなものが本当にあるかは知らないが……、死地より助けられた恩もある。もし彼の石を葬りこの地に戻ることがあれば、お前達に力を貸すと約束しよう」

「『死地より助けた』か……。そう思うならば、この地を離れるにあたって一つ頼まれてくれまいか? あの男を、星読みのマルフスをお前の旅に同行させてやってほしい」

「奴を?」

「お前がそうであるように、あの男もまた計り知れぬ宿命を背負う者。あやつは信じている。レグス・ロカこそが星々の王であり、自分はその男のもとで使命を果たすのだと」

 マルフスの刑の執行を止めた当初こそ、その知識に期待して連れていく事も考えていたレグスだったが、事情がこうも複雑化した今、ある種の狂信に囚われる小男を同行させるのは気がすすまない。

「過酷な旅だ。足手まといを増やすつもりはないのだがな」

 しぶるレグスにゴルゴーラはその利を説く。

「戦いこそ不得手ではあるが、あやつが持つ灰の地の知識は役立つことだろう。それに頼みを聞く礼というわけではないが、こちらからもいろいろと便宜を図ろう。お前が望むなら腕の立つ者達を同行させてやってもよいし、灰の地といえど壁の王の名においていくらか融通を利かすことができる者達もいる。彼らの助けを借りれば旅の負担もその分軽くなろう。もちろん、旅路に必要となる物資の補給についても我らが手配しよう。お前達はあの日の急襲のせいで必要な物の多くを失ったのではないのか?」

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