第463話

 それまでレグスの不躾な言い様にも時折ざわつく程度だった元老院議員達であったが、これには聞き捨てならぬと声を荒げる。

「我らを侮辱するか!!」

 だがそうして殺気立つ大男達を、王は一仕草で制止してしまう。壁の王ゴルゴーラは言う。

「年々春の訪れが遠ざかるにつれ、灰の地に巣くう穢れた者達は勢いを増すばかり。彼の地の魔物共が眷属の異なる者達と手を組むなど、ただごとではない。あり得ぬ事が起きているのだ」

 深刻な口調で壁の王は語り続ける。

「お前も見たはずだ。群れ成す、あの穢れの軍勢を。だがあれほどの軍勢とて灰の地においては一握りのモノにすぎぬ。もしも彼の地の魔物共がことごとく結託しようものなら、その軍勢は想像もつかぬほどの規模となろう。そうなれば、たとえ我らの全軍を以ってしても、奴らを止められはしない」

 それを馬鹿げた妄想と笑う者はこの場に一人とて居はしない。

 誰もがあの凄惨な戦いを経て悪しき予感を確かなものへとしている。

「もはや黒き預言が告げる暗黒時代は、我らの目の前にまで迫っているのだ。預言されし脅威に抗おうと、星の声に耳を傾けようとすることの何がくだらぬものか、レグスよ」

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