第330話
当の本人は陰謀を訴えていたが、そんな主張をいくらしたところで、彼の声に耳を貸す者などいない。
英雄王の娘は国民達に愛されていたが、彼女の息子は違う。
自由なるフリアの地であっても、肌の色が異なるだけで色眼鏡で見られる事は避けられず、ましてや東黄人となるとなおさら、狂王の堕とし仔となると言わずもがなである。
忌まわしき血を宿す悪魔の子の一刻も早い死を、人々は求めていたのだ。
そして女王はついに彼らの声を受け入れ、年の終わりに己の息子を火刑に処する旨の皮紙に署名する。
刑の執行日を、全ての罪の赦しを慈悲の女神に乞う月である『祈月』にした理由、それは女王から息子へのせめてもの情けであろう。
処刑当日、刑の執行が行われる王都の広場は、ロレンシア中より集った大勢の人々で溢れかえっていたという。
教会と並び不可侵の象徴たる王族の処刑など滅多に見られるものではない。
平民達は期待していたのだ、王族が流す赤い血が見たいと。
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