第297話
そして次なる一射の準備を進め、精霊は自身の術を弩砲に込められた矢へと加える。
――そうよ、あんな障壁……。
口には出さぬものの、セセリナにも焦りはあった。
敵の障壁術が強力な術である事は、一目見れば理解出来る。
されど、自分達にはこの弩砲の攻撃に頼る以外に術がない。
もしあの障壁術を破る事が出来ぬのならば、自分達は敵の投石機を破壊する手を失う事になる。
言い聞かすように、願うように、セセリナは弩砲から射出される大きな矢を見送った。
矢はそれまでと同じように、怪鳥達を蹴散らしながら真っ直ぐと城外の投石機へ向かって飛んでいく。
そしてエルフ達の張った魔法障壁に直撃、大きな破壊音を鳴らした。
破壊音。
それは投石機が崩れ落ちる音ではなく、弩砲の矢が砕ける音だった。
巨大な矢の直撃を受けてなおも障壁は赤く輝き、その内にある投石機はびくともしていない。
誰の目にも明らかであった。
枯れ森のエルフ達の魔法障壁には、主塔の弩砲は通じないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます