第259話『入城』
全身を魔物の血に染めた男が城門を潜ると、そこに姿を見せたのは彼の仲間達であった。
ファバに、カム、二人が笑みを漏らしながらレグスに声を掛ける。
「さすがだぜ。まじでたいした男だよ、あんたは」
「無事で何よりだ。悪かったな、損な役回りをさせてしまった」
魔狼の群れを相手にするという危険な仕事を有無を言わさず引き受けたのはレグス自身だ。
しかしカムの性分からして、一言詫びなくては気がすまなかった。
「何も問題はない。言ったはずだ、あの程度の雑魚など相手にならんと」
レグス達がそうやって無事の再会を喜んでいると、一段高い所より声がする。
「よく生きていた。歓迎するぞ、異国の勇者よ」
見上げれば、見覚えのある大男がそこに立っていた。
ガァガだ。
「なんて言ってんだ、あいつ」
言葉のわからぬファバが不安そうにレグスに問う。
その問いに答えることなく手を向け少年を制止すると、レグスはガァガに言う。
「意外だな。てっきり締め出されるのかと思っていたぞ」
レグスは決闘で勝利したにも関わらず、危うく暴徒に殺されかけた身だ。
彼の存在は言わば壁の民にとって不都合な存在。
その皮肉を込めたレグスなりの言葉だった。
「すこし誤解があるようだ」
彼の皮肉にガァガは顔をしかめ言う。
「……話せるか、闘士ゲッカ」
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