第153話
「待てシド、あんたの言葉は正しい。だが、そのあんたの言葉を借りるなら『使い方次第。互いにどこまで譲歩し、利用し合えるか』だろう」
レグスが間に入る。
「何が言いたい」
「この女が何の目的があってグレイランドを目指すか知った事ではないが、彼女がまず必要としているのは、壁を越える事ではないのか?」
女の方を見るレグス。彼女は頷き言う。
「ああ、そうだ」
「そして私達は灰の地の情報が不足している。地形すらも満足には把握できていない。鷹の眼があるかないかは大きな違いとなる」
「だからと言って水と油を無理に混ぜるわけにはいかん」
「混ぜろとは言ってない。一時的に同行させるだけだ。壁を越えさせてやる代わりに、彼女には私達の拠点となる場所が見つかるまで協力してもらう。道中彼女の気に喰わない事もあるだろう、だがそこは我慢してもらう。拠点を見つけ本格的に活動出来るようになれば、彼女とは別れる」
「本当にそんな事が出来るなら、確かに悪くはない。だがこの娘の方が了承するとは思えんな。灰の地で一人放りだされては彼女とてたまったもんではあるまい」
シドの言葉に女は迷いなく断言する。
「私は構わない。壁さえ越えられるならば、この子達とだけでも生きいけるつもりだ。たとえそこが灰色の地であろうとお前達の助力は必要としない」
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