第140話
「気が早いな。先の事に胸を躍らすより、私には戦士として為さねばならぬ事が残っている。戦いはまだ終っていないのだ」
「頼もしい限りだ、勇者ザルザの娘よ」
「何匹か逃げ込んでいるかもしれん、詰所の方を見に行く。あんたも来るか?」
「ああ、いいだろう。ガルーガ、お前は狩りを続けていろ」
ゴドゴは自分の獅子馬ガルーガから降り、ルルと共に見張りの番の為に用意された詰所となっている部屋へと向かう。
途中、リザードマンを追い散らす兵の何人かを加えて、彼女らは下へと続く階段の前まで来る。その先にあるのがズズ達が寝泊りしていた部屋で、そこは寝具だけでなく食糧や武器防具の予備まで保管しているうえにかなりの広さがある。死角も多く、敵が潜んでいればやっかいになる場所だ。
「さっき、壁の上まで忌々しいゴブリンが来ていた。こういった場所での戦いを奴らは好む、皆注意してくれ」
ルル達は用心深く部屋を調べていく。目を、耳を、鼻を、あらゆる感覚を駆使して悪しき魔物を探す。
ゆっくりと慎重に、物陰に注意しながら彼女らは進む。
ごそりと何かの音がした。
自分達の足音ではない。置かれている物に引っ掛かったわけでもない。
何かがいる。
緊張感が高まる。さらに慎重にゆっくりと彼女達は音のした方へと近付いていく。
――ここだ。
詰まれた箱の影に何かが居る。
ルルは後ろについてきた者達に目で合図をし、覚悟を決める。
そして彼女は手にした剣を振りかざし飛び出した。
「忌々しき魔物共め!!」
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