第127話

「で、その立派なデリシャ人様とやらが何だってんだ。その……、恋人がどうとかいう話とどう繋がるんだよ」

「さっきも説明した通り、デリシャはユロアの中でも独自色の強い国だ」

「それで?」

「連邦自体男色には寛容だが、デリシャはその中でも特殊でな。寛容どころか男色至上主義者の集まりだと言われている」

「うげぇ」

 レグスの説明にあからさまに嫌そうな顔をするファバ。

「男色至上主義ってのはちょっと聞こえが悪いな。男同士の愛情こそが至高だと考えてる奴らが多いってだけさ」

 笑いながら微妙な訂正を入れるディオン。

「どこが違うんだよ……」

「別に性交だけが愛の形ではないってことだ」

「でも結局男同士でやってんじゃねぇのか?」

「まぁそうだな。性交だけが愛の形ではないが、それが一つの愛の形である事は違いないからな」

「結局ゲイ野郎ども集まりって事かよ、気持ち悪りぃ!!」

「そう言うな坊主。お前も真実の愛に目覚めてみるか? 案外気に入るかもしれんぞ?」

「気持ち悪い冗談はやめろ!!」

 強く嫌悪するファバの様子に、レグスが彼を見て言う。

「気持ち悪いか」

「何だよ……ゲッカ」

「お前からそんな言葉が出るとはな」

 気持ち悪い、醜い顔を持つファバ自身が何度となく言われてきた言葉。『お前からそんな言葉が出るとは』、その言葉に少年は無心ではいられない。

「な、なんだと。てめぇ……」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る