第70話

「お前さんはギルドの言う真理とやらには興味がないのかい」

 今度はボルマンがレグスに質問する。

「ない。私が求めるのは真理ではない」

 断言するレグスに、ファバが言う。

「キングメーカー」

 それを聞き、ボルマンが納得したような顔を浮かべる。

「やはりな。お前さんも伯爵と同じというわけだ、伝説の魔石を追い、村の石に辿り着いた」

「あんたが隠さず石について話してくれれば、私としても助かるのだが」

「ほっほっほ、そう焦るな蛇の仔よ。この仕事を終えれば、わしもあんたらのギルドを見習って情報をくれてやると約束したのだ」

「メンバー同士でも期待に答えらぬ対価を支払った場合は、殺し合いになる事もあるぞ」

「おお、怖い怖い。では万が一の時も思い残す事はないよう、この仕事を成功させねばならんわ」

 レグスの脅すような台詞にも余裕の笑みで答えるボルマン。レグスが無闇に人を殺めるような人間ではない事をこの魔術師は見抜いているのだ。

「行くぞ」

 ファバが矢を回収し終えたのを確認すると、レグスは移動を急かす。

「ええ!?、まだ聞きたい事が」

「移動しながらでも口は利ける」

「そうだけど、そろそろ休憩もいれようぜ。朝から山道を歩きっぱなしでさすがに疲れたぜ」

 ファバが崖からよく見える太陽を眺めながら言った。

 太陽の高さから丁度昼ごろだとわかる。

 本来ならそろそろ休憩を取ってもおかしく時間ではある。

「駄目だ。すぐに移動するぞ」

「どうして」

「他のオーク共が集まってくる恐れがあるからだ」

「あの狼共と同じようなもんか?」

 少年の脳裏にブラディウルフの姿が浮かぶ。

「それも移動しながら教えてやる」

 レグスの命令に従いしぶしぶ足を動かすファバ。そんな彼にレグスはオーク生態について説明する。

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