第67話
オーク達は目で捉えるよりも早く、彼らの特徴である豚鼻を使いセイラの実が放つ不快な臭いに反応する。
臭いの正体が人間だと気付くのはその後からだった。
レグスは左手に持ったパピーの引き金をオークに向かって躊躇無くひく。
するとまず最初の一体の頭部に二本の矢が突き刺さった。
倒れるその一体を周囲のオーク達は唖然とした感じで見るだけで動きは止まっている、その間に次の三、四射目が二体目を仕留める。
オーク達が抵抗見せる前にその数は半減してしまう。
この辺りの甘さ、弱さが所詮はオークという事だろう。オーク達には争いを好む性質があるとされるが、高い文明を持つ人間とは違いそこに戦闘、戦術に関する過去からの蓄積がない。学ばない。
だからこそ、突発的な戦闘ではどうすればいいのか、どうするのか。判断、動きの速度の個体差があまりに大きい。
レグスにとってオークのほとんどは戦いの素人を相手にするようなもので、容易い事。
二体の仲間が殺されたところでようやく残りのオーク達は、状況を理解し戦闘態勢をとる。
が、五、六射目の矢を避ける事が出来ずに三体目も殺されてしまう。
残り一体はどうするか、人間ならば逃げ出すだろう。獣ですら、逃げる事を選択するかもしれない。
しかし魔物の選択は違った。
激昂し、ボロボロの剣を手にレグスに襲いかかる。
六発全てを射ち切ったパピーに矢を込める時間はない。
パピーを持つ手とは反対、右手一本、片手剣の状態でレグスはオークの剣を打ち上げ、宙へと飛ばす。
そして彼は手にした武器を失い動揺見せるオークの首を容赦なく斬り飛ばす。
「さすがは蛇の仔だのう。オーク如き、寄せ付けぬ戦いっぷり、頼りになるわ」
不意をついたとは言えオーク四体相手に無傷の圧勝。そこらの冒険者とは格が違う。ボルマンはレグスが自分の期待通りの力を見せた事を喜んだ。
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