第41話

「止めなさい!!」

 躊躇する少年とやる気満々の男二人の間に、ロゼッタが割り込む。

「何のつもりだ、姉ちゃんよお」

 そこをどけと言外に圧力をかける男にも彼女は退かない。

「それはこっちの台詞よ。子供相手にそんな物だして。あなた達、恥ずかしくないの」

「おいおい、先に得物を抜いたのはそのガキだぜ。俺らは自分の身を守ろうとしてるだけだ」

「嘘おっしゃい。あなた達からこの子にちょっかいかけたんでしょうが。とにかく、そんな物早くしまって」

 男達に剣を収めるよう要求するロゼッタ。

「これ以上無茶をするようならギルドとしてあなた達の処分を考えなきゃいけなくなるわ」

 ギルドという言葉に男達の顔色が変わる。

「おいおい冗談きついぜ。ただの受付の姉ちゃんが俺達をどうこう出来るつもりか?」

「さぁどうかしら。それにここには大勢の目撃者がいるのよ。皆様方の声もギルドとして無視はできないでしょうね」

「こいつ……、ジャコモどうするよ」

 相棒の判断を求めるクレイグ。

「ちっ、女が調子に乗るなよ。理屈こねようが、先に得物だしたのは糞ガキの方だ。邪魔しようってんなら、かまう事はねぇ!! てめぇごと、ぶった斬ってやる!!」

 頭に完全に血が上っているジャコモ。この行動にはさすがの相棒のクレイグも驚き、制止の声をかけようとする。

「お、おい」

 だが、その声は彼の耳には届いていないらしい。

 ジャコモが剣を高く振り上げる。

 その光景に周囲の冒険者達はざわめき、ギルドの職員である女達は悲鳴を上げる。

 ジャコモの剣を前にさすがに恐怖心に負けたのだろうかロゼッタは目をつぶってしまう。だが、それでも背後の少年を守ろうと彼女は一歩も動きはしなかった。

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