第39話
「ロゼッタ!! ちょっと席を外す、この客人と話があるんでな」
老人が受付の若い女に言う。
「は、はい。えっと、ヤーコブさん、どのくらい……」
女は話がどれだけかかりそうか聞きたいらしい。
「さぁな。時間の食う話でないと良いんだがな。なぁ、客人」
老人がレグスを見て言った。
「私もそう願っている」
レグスの返答は素っ気無い。
「とにかく頼んだぞ!!」
「はい、わかりました!!」
女にそう言い残し奥の部屋に引っ込む老人、部屋の扉を開ける際、レグスを一瞥しついて来いと合図を送る。
「少し込み入った話になるかもしれん。お前はここで待っていろ」
レグスは老人について行く前にファバにここに残るよう命じた。
「えっ、けど……」
青目人の冒険者達の方を見てファバが言う。一人残されるのが不安なのだろう。
「気にするな。この程度の事で恐れを抱いていては、これから先の旅、到底耐えれるものではないぞ」
「別にびびってなんかねぇよ!!」
「だったら堂々としていろ。それから常に頭は冷やしておけ、お前は少し軽率なところがあるからな。……もう一度言っておくぞ、つまらぬ奴らの事など気にするな。」
「なんだよ、揉め事起こすなってんだろ……」
「本当にわかっているなら良いんだがな」
「わかってるって!! はやく行けよ!! あのじじいが待ってんだろ!!」
不機嫌なファバを残し、レグスは奥の部屋へと消えていく。
そしてその扉が閉められると、この場に東黄人はファバだけとなった。
彼は青目人達に絡まれぬように部屋の隅へと移動し座り込む。
そんな東黄人に向けられた視線。少年の本能がその視線にざわつく。
何事もなければそれでよかった。
しかし、嫌な予感に限って当たるものなのだろう。
二人の青い目の冒険者が、一人残された少年のもとへ近付く。
――くそっ、こっち来やがった。
冒険者。
何も知らぬ子供達の中には身一つで危険な旅をする彼らに憧れる者もいるが、世間の彼らに対する一般的評価は、命知らずのならず者である。
実際柄の悪い者も多く、国にいられなくなった犯罪者崩れも混じっている。
あまり関わり合いたくない種類の人間と言えるだろう。
そんな奴らが、にやつきながら近付いてくれば、例えファバでなくとも警戒し、嫌悪するに違いない。
「なんだよ。なにか用かい」
心のざわつきを隠しながらファバは男達に問う。
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