第14話

「残念だが、私が探しているのはまさしく狂王が手にした石だ。終わりだな」

「まっ!!」

 声をあげるその途中で闇を駆ける存在がディリータを切り裂いた。

――五大国の石を探れか。……そんな簡単に事が進むなら苦労はしない。

 五大国に石があるとされている事など男は既に知っていた。そしてその石を探る事がどれほど危険で困難なものかという事も。

 キングメーカーは大王の象徴でもあり、その名を無闇に口にする事すら彼の国々では不敬とされ、まして石を探るなど叛意のあらわれ、死罪に値する。

 だからこそ、狂王の噂に大勢の人間が振り回された。

 我こそが六人目の大王とならんとして。

「ジヌード、見事だ」

 暗闇に散乱する死体の傍らに佇む異形の魔犬、この犬がディリータ達を皆殺しにしたのである。

 男は魔犬の仕事ぶりを褒め、次の命令を出そうとする。

 が、その時だった。

 砦内に、まるで怪鳥が鳴くが如く不快な絶叫がこだましたのだ。

 男はその音の正体をよく知っていた。

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