第11話

「安心しな俺達が全員あの世に送ってやるよ、ただし、たっぷりといたぶってからな!!」

 ディリータが叫び再び襲い掛かろうとしたまさにその時であった。

 暗闇の中を何かが動き、そして、影がのっぽのローガスの首を刎ね飛ばしたのだ。

「ロ、ローガス!!」

 突然の出来事に盗賊達は混乱した。

 当人のローガスにいたっては自身の身に何が起きたか理解するどころか、混乱する時間すらもなかった。

「ひぇぇぇ!!」

「ローガスさん!!」

 盗賊の手下共が目の前で起きた出来事、その一部を理解した時、彼らは狼狽し情けない声をあげた。

「て、てめぇ!! なんだ今のは!!」

 ただ一人、弟を目の前で殺されたディリータだけは怒りの感情を持ち合わせていたようである。

「殺せ」

 ディリータの質問には答えず、狼狽する盗賊の手下達を見ながら男が呟く。

 すると闇の中に潜む何かが動き、手下達に襲い掛かる。

 一方的な惨殺。

 ある者はローガスと同じように首が刎ね飛び、ある者は四肢を失い、ある者は胸からぱっくりと斬り開かれ、内臓を地面に撒き散らした。

 抵抗らしい抵抗など出来はしない。

 松明の明かりだけが頼りの闇の中で、自分達に襲い掛かるそれの正体を知る事すらなく、盗賊達が死んでいく。

「なんだ、なんなんだよ一体!! ……てめぇの仲間なのか!?」

 この惨殺劇にディリータのさきほどまでの怒りが急激に萎え、代わりに恐怖が膨張していく。

 戦いの勝敗をとうに決していた。

「くだらない事を何度も聞くな。私に仲間などいない。……どうした、悪党。顔が歪んでいるぞ」

 恐怖に歪む盗賊の顔を見ながら、男は冷たく言い放つ。

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