『野の花より 警告』

永遠の静けさに抱かれた

平和な草原

そこには動くものもなく

土と草と一体になるかのようにして

古い線路が延びているだけだ

——ただ 真っ直ぐに


列車はかつて一度だけ

この草原を通っていった


今 その線路の上に立ち

二度と来ない列車を待って

遥か地平を見つめ続ける目がある


  それは

  死後の世界を探し求める目と

  よく似ている


誰もが

奇跡など起きはしないと認められるほどに

  自分で自分の希望を切り捨てられるほどに

強いのではない


今はまだ列車の中にいる者達も

いつかそれを知らなければならない

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る